パノラマロジック

オタク怪文書

「鈴木達央」で短歌を詠んでみたよ

歌会「明星」の今回のお題は、待ちに待った「鈴木達央」ということで、鈴木達央短歌を詠んでみました。


毎回、楽しく作っているのですが、今回だけはかなり難しく、長いこと考えたのに全然出て来なかった気がします。というのもナウオンタイムで一番大好きな人なので冷静に見つめることがまったくできなかったからです!!!

で、作ってみたのが下記の3つ。

1 好きだとか愛してるとか言われても持て余すだけの100円ライター
2 振り払う手をもう一度掴もうと伸ばしてくれた手。触ってくれ
3 乱暴に突き上げ揺すり中に出しこぼしたそれ「かわいい」「死ねよ」

鈴木達央さんの魅力のひとつに、近づいてくる人を全て受け入れるのではなく試すように遠ざけたり、自ら愛されないように防御壁を貼るところがあると思います。

彼はファンサービスは結構いいほうだと思うけど、Diaryに書くファンへの言葉遣いがぶっきらぼうだったり、かっこいいとかかわいいとか言われることを避けるようにしたり(むしろそう言われないようにあえてヒゲはやしたりしてるのかな…と先日のランティス祭で思いました)誰かにどんなことを思われてもいいからと、自分の言いたいことを貫こうとします。(そのせいでたびたび炎上します)

バンドでのMCでも「自分たちの名前を覚えてくれとは言わないけど盛り上がってくれ」「アルバムは聞いてほしい。でも、出来がよくなかったら割ってくれ」という極端な発言が飛び出します。これは、常に彼の中でひとりになる覚悟をもって表現を届けようとする信念があることの現れなのでしょうが、ライブの場で、一緒に盛り上がろうと手を差し伸べようとするオーディエンスに向けての言葉としては、その好意を自ら振り払ってるように見えます。

なぜ彼はそんなふうにせっかく向けられた好意の目線をブロックしようとするのか。これは想像ですが、多分愛されないことが怖いのだろうと思います。最初から愛されなければ、愛されなくなってしまうことへの恐怖は生まれるはずもない。だから、最初から愛されないように振る舞う。

愛を乞う手つきとしてはとても不器用。そこが、鈴木達央さんの魅力だと考えています。

そんなわけで出来たのが、1の短歌。達央さんという人を現すのに必要な要素のひとつである「喫煙」を踏まえています。喫煙していると、100円ライターをしょっちゅうなくしてはまた買ったり借りたりしてるうちに溜まっていって持て余してしまうので。100円ライターのように「好き」「愛してる」という言葉をもらっても持て余してる。というのを詠んだのですが、意味がいかようにでも読めてしまう並びなのが反省点でした。

2はそうした好意を振り払った先まで読み込めたので個人的にはこれが気に入っています。最初は「振り払う手をもう一度掴もうと伸びる手を持つ人だけ愛す」だったんだけど、これだと達央さんにしては偉そう。彼は徹底的に自己卑下しないと気が済まないと思うのでやめました。

そして、達央さんをつくる要素として重要な「エロ」も入れなくては。ということで3が出来ました。
(下ネタ大好きで過去のリアルな性体験をバンバン公言するのに、演技の上では抱かれまくり喘ぎまくる一級のAV女優のような真逆な方向にねじれた達央さん最高ですね)

達央さんの魅力をもうひとつ述べると、「自分でまったく意図してない無防備さ」にあると思っています。なので雄々しい性行為のモチーフが本人が意図してる部分で、そっから不意にこぼれた部分は「かわいい」の部分。しかしそれを「かわいい」っていうとMCで「うっせ!死ね!」とか言ってくるんだよな。。。かわいい。

作ったけど出さなかったのは以下の3首。

喉の奥誰かになるために空けた場所に自分を詰め込みがなる
出力を最大にしてハウってる愛しか聞けない囁けない
向けられた歓声すべて振り払う闇雲に振る子供の手つき

達央さんて演技するあまりにTa_2ってキャラでさえもどっか演じてないか?という妄想のもとにつくったのが1番目。2番目は何書いても炎上するDiary芸人としての達央さんを詠んだ、みたいな感じです。

そして、今回の講評ブログで出された短歌はどれも、そうか、それがあったか!と感嘆するものでとても面白かったです。

好きだなと思ったのはこちら。

・心臓を削ってきみに与えれば息をし始めるのが嬉しくて

私はどちらかというとOLDCODEXのTa_2さんとしての言動に引っ張られすぎてあまり役者としての鈴木達央さんを捉えられなかったなとこの歌を読んで思いました。心臓を削って役に挑むような気迫があるし、恐ろしいくらいに役に徹する彼を何がそう駆り立てるのかは結局「嬉しくて」という単純な感動なのかもしれません。素敵です。

・青空を仰いで煙吐き出して今日も生きようだとか思った

これを詠んだのは鈴木達央か?と見まごうばかりの鈴木達央感があって大好きです。青空を仰いで煙を吐き出すまで清々しいほどピュアな感じなのに、生きようと思った、じゃなくて「生きようだとか」というところにこの人の素直じゃない感じが出ているなと思いました。

・幻を赤いルージュで塗りつぶしあなたに聞かせるための真実

受け演技が絶品でやたらとエロい役をもらう頻度が高い達央さんのありようが赤いルージュに出ているなと思いました。「あなたに聞かせるための真実」も決して真実ではないんだけど真実になりきろうとする達央さんの切実な演技に対する姿勢が読めます。

・引っ掻いた傷が無数に残るベロ もつれて鼻にかかった「イク」

短歌を始めた当初、「好きな人やものを自分が美しいと思う形で切り取るつもりで」と言われ、実際ジャニーズJrや佐藤勝利さんはそういう作り方が出来たんだけど、どうも鈴木達央さんにはきれいに飾る言葉が見つからない…と思っていたけどこういう形で詩的に美しく艶っぽく詠むこともできたんだなと思いました。
っていうか、下の句が超的確に達央さんの喘ぎ声の素晴らしさを現してるなと。そうそう鼻にかかった声なんだよね。すみません。

・魂を削って磨いてやわらかい部分に俺の名を刻むまで

ああああそうそうこれも達央さんのあり方そのものだなあと思いました。野心家なんだけど、その野心は自らの魂削ってる感じ。しかし、すみません、この魂は「俺の」魂だったのかな…?

なんか自分で作った短歌をぐだぐだと解説するのも無粋だなと思うのでもうやめようかなと思ってましたが、達央さんのことだけは自分の整理にもなるし語らずにはいられないので長々としたためてしまいました。もうすぐ達央さんに落ちてからやっと1年です。

楽しい1年だったな…。