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OLDCODEXのツアーで感じたこと総まとめ

OLDCODEXの、A Silent, within The Roar Tourが終わりました。

鈴木達央さんを好きになってから、実はそこまで彼のバンド活動を深追いする予定はなかったのですが。気づけば札幌、福岡、大阪、名古屋、熊谷、お台場、新木場、なんばと8箇所回ってました。
それだけ、OCDってバンドの、噛めば噛むほど面白い部分に触れてしまったのだと思います。

このツアーを回れてよかったなと思うのは、やっぱりoptimistic negative thingからwire choirに至る、バンドの静と動の振れ幅を味わえるあのパートがあったから。

あのパートでTa_2さんは「ライブをやる土地それぞれにこのパートはオーディエンスの反応が変わって面白い」というのをよく言ってたけど、バンドの見せる姿もあのパートでは如実に違いが現れていたと思う。毎回毎回一秒足りとも逃したくない思いで全神経をステージに集中させていたほどだった。

四つ打ちと荒々しいバンドサウンドが折り重なって鵺のような奇怪な生き物の姿になるoptimistic negative thingはすさまじくかっこよかった。そして、やっぱり私はこの人の歌声が本当に泣けるほど好きだなと再確認しまくるHow Affection。人間の体が発する歌声が、感情を暴発させながら、ギターの音に拮抗していく様が本当に素晴らしいと思った。

Ta_2さんのHow Affectionで見せる表情は毎回どこか違ったように見えていた。我を忘れて荒ぶるような時もあれば、冷静沈着に音をとらえて曲を演じ切るようなときもあった。歌声がひとつでここまでの表情を見せられるのは本当にボーカリストとしての底力だと思う。

そして、なんといってもこのHow Affectionから次の〔Blue〕への流れが秀逸だと思う。

How AffectionはTa_2の生身のボーカリストとしての表現力が作る。どんなに荒々しいギターが鳴り響こうが、歌声は覆われることなく、そこでは歌声が剥き出しの姿で立ち現れてくる。けれど、〔Blue〕では一変して、バンドのアンサンブルにひとつの音の素材としてボーカルは寄り添うことを求められている。Ta_2さんの声は無機質な素材に徹する。

この振れ幅の恐ろしいまでの広さがTa_2さんのボーカリストとしての強みであり、OLDCODEXの面白さだと思う。この2曲が隣り合わせになったことで、一層その表情の多彩さが浮き彫りになる。
まさにツアータイトルに相応しい、相反する2つの事象の同居だった。

立て続けに演奏されるElephant Overのシューゲイズな美しいギターには意識が宙へ飛ばされて行くような感覚を覚えるし、その後で突き刺すような前奏から始まるWire Choirはその向こう側にバンドとしての物語を見てしまう。この曲は、毎回2人の見せる表情が変わるのがよかった。

毎回、終わった後はTa_2さんはオーディエンスに向かって「ホラ、微妙な空気になった」とかって茶化してたんだけど、あのパートは素晴らしくて余韻に浸りたいからぐっと黙ってしまうんだよなあとTa_2さんのmcを聞くたびに思っていた。

私は、基本的にタテノリの音楽がそこまで好きではないし、Ta_2さんとYORKE.さんの夢見がちで情熱的で純粋なMCには意地悪なオトナ心が働いて目眩がしてきちゃったりするから、正直OCDのライブを心から楽しめてるかと言われると、どこかで少し無理をしてるところはある。7本目の新木場でそれを顕著に感じて、8本目のなんばは完全に消化試合のつもりでいったけど、やっぱりこの唸るしかないセットリストにやられて心を入れ替えるのだ。やっぱこのバンドはすごいなと。

それ以上にこのバンドが面白いのは、Ta_2さんの存在だった。それをなんばのMCでやっぱり改めて実感した。

「俺はこの場所に立ってるときはボーカル(違う言い方していたのですけれど思い出せません)でしかないと思ってる。だけど俺はほかにもいろんなことをしてるから中にはそれを許してくれねぇ奴もいる。そういう奴には色々言われんだ。時にはすげぇひでぇことも。だから俺ってなんだろうって考えて、なんだろう、なんていうか、ほかのやつとは全然違うとこで悩んだりして悩む必要ねぇとこで悩んでさ……だって俺は俺じゃん?そういう奴にはすげぇ反発したりして、だけど、認められたい自分もいんだ。ライブ終わると。そういうこと考えてると頭いっぱいになって、何書いたら良いかわかんなくなって、 書いてみるんだけど、何回も消してさ……だけど俺は今日腹括ることにしたわ。俺はどっちつかずの中途半端な奴かもしんねぇけど、それなら誰も文句言えねぇくれぇ中途半端な奴になればいいと思うんだ。俺は世界一中途半端なボーカルを目指したい」 
引用元:http://matome.naver.jp/odai/2141432188393002801
声優とバンドのボーカルの2足の草鞋のTa_2さん。まあ、そうなんだろうな。と、なんとなく想像出来ていた彼の内面の苦しみが、目の前で吐露されていく。この時のフロアはいつになく静まり返っていた。誰も気安く声をかけようとはせず黙ってそれを聞いていたのが印象的だった。

つまんない外野の言うことなんか気にしなくていいのになと思う。OLDCODEXもTa_2さんもすごい振り幅を持った存在だから。相反する二つの世界で行ったり来たりを繰り返せばいい。そういう自分を誇ればいいと思うのに、そんな迷いが出てくるということは、本人も言ってるけど、認められたいのだろうな。そういう姿勢が、いじらしくて愛しい。

この日のアンコールは、割れんばかりのOCDコールに迎えられたのに、ステージ出てきたTa_2さんは、熱狂を裏切ってフロアをまじまじと見渡していた。何か珍しいものでも眺めてるように。

「この景色ずっと見てられるなあ。お前らいい顔してんぞ」

いやいやそんなこと言ってないで早く演奏やれよ。と思わなくもなかったけど、その突き放す感じがいいな、と思う。Ta_2さんは「お前らにいつも背中押されてる」と言いつつも常にどこかでオーディエンスと距離をとってるように見える。

これだけたくさんの人がこのバンドを見に来てるのに自分のことを「中途半端」と名付けて開き直ろうとするのだから、Ta_2さんの閉じこもり方は根が深いんだろうな、と思う。やすやすと慰めの言葉を聞き入れない人なんだろう。

そんな頑な人が、音が鳴り出した途端、この上なく幸せそうな顔をしてステージの上を飛び跳ねるのを、このツアー中に何度も何度も見た。日頃感じている迷いやしがらみから、多分このときだけは解放されているように見える。これ以上ないくらいに幸せな笑顔。

だから、信じられるなと思う。へたに迎合して自分を偽ることができそうにない人の笑顔だから。

こんな時、手を伸ばしたその先、ステージ上で彼が全身全霊で飛び跳ねて歌ってるその事実がたまらなく愛しい。目前で息をしてるのが、とっても嬉しく思えてくる。息をして動いてる。それだけでもう、ありがとうと思えてくる。だからそういうTa_2さんの顔を見てこっちまで一緒に笑っちゃう。Ta_2さんは「お前らほんといい顔してるよ」ってよく言ってるけど、その原因は完全にTa_2さん自身にあるんだよ。

そういう笑顔を見ていると、その瞬間だけ手放しにあらゆるものを信じることが快感に変わる。普段は斜に構えて遠巻きに眺めていた青臭い言葉も、真正面から受け止められる。

楽しくてヒリヒリするバンド。正直こんなバンド好きになれない、とか言いながらもなんだかんだてこんなにツアーに行ってしまったのは本当にこういうところなんだと思う。もう遠征はしない予定だったけど、やっぱりまたしようかな…と思ってしまう。

楽しいツアーだった。