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男性声優楽曲大賞2017-今年の11曲

2017年も終わり…ということで今年も男性声優楽曲大賞をしたいと思います。

ルールはこちらです。

 

・2016年12月〜2017年11月に発表(発売ではない)された楽曲が対象
・1枚のCDから選べるのは1曲だけ
・が、これは!と思う1枚に限っては2曲選んでもよい

 

note.mu

 

それでは、今年の11曲を書いてみたいと思います。


11位 オジー自慢のオリオンビール柿原徹也

 

オジー自慢のオリオンビール

オジー自慢のオリオンビール

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 恥ずかしながらお酒がまったく飲めないうえに沖縄にあまり縁がなかったので、これがBEGINのカバーだって知らなかった…。今年たまたま沖縄にいって、居酒屋で三線の演奏があったときにこれが演奏されて、そのとき初めて、「BEGIN」のカバーだと知りました。

問題なのは、柿原徹也ってクリスマス生まれでドイツ出身なのに、どうしてこんなに沖縄ソングが似合うのかってことです。すごいよ。


10位 LOVE PLANET /アツト(CV.中島ヨシキ

箱庭の室内楽のハシダさんの曲。B-BOYで連載されている「ピンクとまめしば」というアイドルBLのキャラクターソングです。アリーナ規模のアイドルのはずなのに、このぺらっぺらな音はなんなんだ…と正直思うし、途中で入ってくる「アキトー!」という女子のコールだって、無理やりすぎてまったくアリーナを感じさせません。

ただ、この軽薄なきらびやかさをこれでもかと重ねたキラッキラサウンドと、意図的にやってんじゃないかとさえ思わせるこのダサさが、逆に、女性向けアイドルコンテンツ戦国時代でよくできたアイドルソングが大量に生産されていく2017年にひときわ異彩を放っていました。悪趣味なキッチュさがあってかわいい曲だと思います。

てか、中野ロープウェイで写真撮られてるミスiDファイナリストの地下アイドルとかが歌ってそう。


9位 ベイサイド・スモーキングブルース/入間銃兎(CV.駒田航) 

ベイサイド・スモーキングブルース

ベイサイド・スモーキングブルース

  • 入間銃兎(CV:駒田航)
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

今年男性声優のおたくとして一番ブチ上がったコンテンツはやっぱり「ヒプノシスマイク」です。

最初は「いくら日本語ラップブームだからといって、男性声優さんにラップやらせようとは、安易な企画だな…」と思っていたのですが、1st LIVEがめちゃくちゃ面白くて、そのうえで木村昴さんほかキャストのみなさんの意気込みのすごさに触れ、その舐めた考えを改めることになりました。

歌と違ってラップは、慣れてない演者がやることにより、そこにその人の魅力や勘の良さが発揮されると思うので、こうして12人の声優の意外な一面に触れることができるのが楽しくて仕方ないです。そのうえで、楽曲もどれもよくて、そこに製作陣の真摯さを感じます。

謎の中毒性がある全員曲「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」もよかったですが、総じて楽曲がかっこいいのはやっぱりサイプレス上野や、ALI-KICK、HOME MADE家族のKUROが参加した「ヨコハマ・ディビジョン」に収録された3曲。中でも入間銃兎の曲は、駒田さんの声優としての演技と、ビートから意図的にずらしたりするリズム感やフロウの巧みさがいい塩梅に混ざってていいなと思います(って書いてるけどしょうじきラップの巧拙はいまだよくわかってない)。

木村昴さんがインタビューで「声優さんが演技をしながら発する言葉の強さは本職のラッパーにも太刀打ちできる」みたいな発言をしていたと思いますが、演技を挟んだ声の強さを、イケブクロとヨコハマの中で(※)一番感じたのは駒田さんでした。

ラップにも、声という楽器の良さは重要という話をRHYMESTER宇多丸さんがしていましたが、おそらくヒプノシスマイクの発端は「いい声のプロである声優にラップさせるとどうなるか」という実験から始まっていると思うのです。その実験の素晴らしい成果のひとつが駒田さんの銃兎のラップなのかなと思います。

(※シンジュクとシブヤ含めるとまた変わってくる)

 

8位 SICK SICK SICK/碓氷真澄(CV.白井悠介

SICK SICK SICK

SICK SICK SICK

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碓氷真澄くんはアプリゲーム「A3!」に登場する、ポストロックが好きな高校生です。ロック好きなキャラはよくいるけど、そのジャンルまで指定されたキャラは早々いないのではないでしょうか。しかもポストロックってところに10年代の高校生っぽさを感じます。A3!はほんとこういうキャラ造形の微妙な細かさがほんと最高。

この曲は、

真澄くんはいつもクラスの隅でヘッドフォンでポストロックを聞いている

きっと残響レコードが好きに違いない

残響レコード所属バンドっぽいキャラソンにしよう

という発想のもとに作られてるのではないかと妄想してしまいます。よく聞いてるとリズムパターンが多彩で、それがこの楽曲のラフさにもつながってる印象で、凝ったつくりになっている一曲です。また、真澄くんの口癖である「しんどい」が反映された曲の終わり方もめちゃくちゃいい。聴いてるこっちが好きすぎてしんどいわ。

さらにいえば白井さんがこんなに色っぽい歌い方ができるのか!という点もびっくりしました。歌がうまくなりましたよね…機械の力かどうかはわかりませんが。

残響つながりで第2弾のキャラソンは、照井さんにつくってもらいたい。A3!ならやってくれるはず。


7位 YOU/山中真尋白井悠介

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男性声優による名曲カバーCD「ダブルディアカバーズ」に収録された、SOFT BALLETの「YOU」のカバー。そもそもカバーソングが作られる背景には、「みんなが知ってるなつかしの名曲」でセールスを狙う、というのがあると思います。しかし、「接吻」や「シャドーボクサー」がカバーされているのを見ると、起用されている声優のファンの年齢層の「懐かしいライン」とは異なるので、セールス狙いなのではなく、むしろ「過去の名曲を再発見しよう」というコンセプトが感じられます。(名曲ルネッサンスてきな…)

そこで、この「YOU」です。不勉強なことに私はSOFT BALLETの曲を一度も聴いたことがなかったので、まんまとこの「名曲の再発見」にはまってしまいました。めちゃめちゃいい曲ですね…。

しかし原曲と聴き比べると、原曲の音数の少ないソリッドさが失われてしまっているのでアレンジとしては改悪かもしれません。なにより、間に入っているセリフを声優さんがいかにもな感じで読み上げているところが、原曲のファンが聞いたらキレられそうだな…と思いました。

しかし男性声優楽曲としては、この白井さんとまっぴーさんの十八番である吐息混じりの朗読が、不穏な曲にあらたな不穏さを与えていて、だいすきなんですよね…。怒られそうだけど。いかにもシチュエーションCDまたはBL的な男性声優の発声技法が、退廃的なニューウェーブとマッチするところはすごい発見だなと思います。

それと、山谷くんと高塚くんの「シャドーボクサー」も入れようか迷いました。山谷くんのシャリシャリした声はエフェクトとの相性が最高。あとこのアレンジが好きです。


6位 半脱ぎ★SOLD OUT!!/藍崎海人(CV.鳴海和希)/深紫塩音(CV.濱野大輝

半脱ぎ★SOLD OUT!!

半脱ぎ★SOLD OUT!!

  • アイドルDTI
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 ヒプノシスマイクを脅かす2017年男性声優ラップソングの名曲…は言い過ぎかもしれないけど、佐伯youthKさんの曲はやっぱとことん気持ち良い感じになっているので選ばずにはいられないです。特にラップパート。スラップベースと高い音で鳴ってるギターに、濱野くんの低音と鳴海くんの高い声がのるのが好き。朝とりあえず景気がいい曲が聴きたいときにいつも聴いてました。

個人的には最初からウケをねらった出落ちコンセプトの作品て好きじゃないので、”脱衣アイドル”と言われてもへーそうですかーくらいにしか思わないんですけど、悔しいけどやはりこういう人を食ったようなバカバカしいコンセプトが歌詞としてのると、不思議なかっこよさがありますよね…。たとえば「裸と裸の間からI’m a 半裸」とか、「完膚なきショウタイム 見せつけよう塩タイム」とか。この出落ち感ある作品世界でかっこいいキャラソンができるのはひとえに佐伯さんの言葉遣いのセンスな気がします。


5位 What have you done for…/apple-polisher

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クソアニメとして2017年の話題をさらった「DYNAMIC CHORD」ですが、その楽曲はまったくクソではなく、その証拠としての一曲がこれ。エレクトロ風味なロック、どことなくサカナクションっぽい。そこにある蒼井翔太くんの伸びやかな歌声がいいですね。

ダイナーっていつもこれ誰つくってんだろ?ってびっくりするのに、作曲にクレジットはキャラ名なのが面白い。


4位 夜明けはまだ/斎藤壮馬

夜明けはまだ

夜明けはまだ

  • 斉藤 壮馬
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 何をやっても間違いない声優斎藤壮馬くんの、間違いない2017年最新型ポップス。

幸せなダンスホールの一夜を思わせるような華やかな楽曲。こういう曲にはだいたい「とにかく踊って楽しく過ごそうよ」みたいな歌詞が入りがちですが、この曲は違う。

「くだらない ばかしあい 僕は踊らされていたい」だとか「都会の底のそこを天国と錯覚」だとか「ほんとうは芝居うち 夜を永遠に見せかけた」「考えるだけ無駄さ 所詮は生物」とか、一貫して人を酔わせる甘い空気感から背を向け、あえてその向こう側を見透かすポーズを崩さない態度。

”この甘い夜は嘘だと思ってるけど、いまはいいからここに身を委ねて楽しくやろう”、このひねくれ方がめちゃくちゃThis is 斎藤壮馬!!!!!だと思います。そして作詞クレジットを見ると児玉雨子さん。やっぱ斉藤壮馬はなにひとつ間違いがない。


3位 NEMOPHILA/QUELL(和泉 柊羽 (CV.武内駿輔)、堀宮 英知 (CV.西山宏太朗)、久我 壱星 (CV.仲村宗悟)、久我 壱流 (CV.野上翔))

NEMOPHILA

NEMOPHILA

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 ツキプロの曲って最近あんまりぱっとしないなあと思っていたところに現れたQUELL。キャラソンにしては地味と言わざるを得ないけれどめちゃくちゃ作り込まれている、という意味でGrowthの曲を聴いたときのことを思い出すQUELLの楽曲の中でも、一番好きなのがこの曲。

最小限の音数で、武内くんの咳払いの音や、そっとつぶやくような野上のラップなど、静謐さを聞かせるところがかっこよくて好きです。でも最後のほうでQUELLの会話がそのまま歌詞になってるようなところもあって、4人のユニットとしてのかわいさも表しています。

ほんとにこの野上のラップ大好きなんですよね、野上の新たな一面。このかっこよさを引き出してくれたという意味でもすごい曲です。


2位 いちにっさんかく/斑鳩三角(CV.廣瀬大介

いちにっさんかく

いちにっさんかく

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 まさかのサクライケンタが男性声優キャラソンに楽曲提供。斑鳩三角くんのキャラソンを作ろうと思ったときにサクライさんを起用したA3!運営の勘の良さが冴え渡る一曲です。

斑鳩三角くんて、つかみどころのないかわいい不思議ちゃんで、しかし病的に三角に固執するあたりに、なんとなく仄暗いものを抱えてそうな危うさが魅力のキャラなんですが、このかわいらしさと不安定さを両立させるためにはサクライケンタしかいなかったのではないでしょうか。

まず始まり方が三角の「みんなも一緒に歌ってね いちにっさんかく!」のセリフで始まるんですが、ここにぽつんと聞こえるピアノの音が、なんだかめちゃくちゃ違和感があって不安なんですよね。

サクライさんてブクガでもそうなんですけど、強烈な違和感を作り出せる天才なんじゃないかなと思っていて、それが三角の楽曲の重要なポイントになっています。

(ちなみにサクライさんの違和感が凝縮されたとんでもないブクガのライブ感想はこちら)

minaminanarial.hatenablog.com

でもいざ歌が始まってしまうと、幼さを感じさせる三角くんのかわいさが十二分に発揮されためちゃくちゃかわいい曲。このバランス感が絶妙だなと思います。サビ前は三角くんらしく3拍子が入ってるのもいい。間奏で何拍子なのかわからなくなるところもサクライさんぽくていい。サクライさんがこんなに三角っぽい曲をかけるのはもうサクライさんは三角なのではという気さえしてきます。

1位 New star/山田三郎(CV.天﨑滉平)

New star

New star

  • 山田 三郎(CV:天﨑滉平 )
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

□□□の三浦康嗣さんが手がけたヒプノシスマイクのイケブクロ・ディビジョン、山田三郎の曲。キャラソン、アニソン界隈以外で名をあげている人が声優さんの曲を手がける場合、女性声優→男性声優という流れがあったような印象があるんですけど、三浦さんとサクライさんが起用されていたことに驚いた2017年でした。

やんちゃな兄たち、一郎と二郎とは異なり頭がキレる末っ子キャラの三郎。G線上のアリアをサンプリングしたブレイクビーツで、いろいろな意味で偏差値が高そう感が、いかにも三郎らしい楽曲になっています。

(むかし”音楽的な偏差値の高さが〜”と書かれた藤井隆の楽曲レビューを読んだことがあって、なんだそりゃと思ったけど、そこで「偏差値の高さ」として形容されたある種の音楽好きの頭でっかちな感じは三郎くんのキャラにも通じるところがあり、あえて偏差値高そうな曲と言わせてもらう)

かっこいいことこのうえない楽曲ですが、それよりも惹かれたのは、三浦さんの(?)山田三郎の解釈です。歌詞をつくる人たちは、私たちよりも多くのキャラクターの情報を仕入れてるのかもしれませんが、現時点ではカワイイけど毒を吐くかしこい少年、くらいの情報しかない三郎に、絶妙な中二病っぽさを加えてきたところにこの曲のよさがあります。

ふつうラップバトルって8少節くらいはないとだめだと思うんですけど「僕は1少節でいいよ」っていうあたりの、現実離れした感じとか。「はい、ワンパンでノックダウン」の、中学生が考えそうなふわっとした強さとか。極め付けは「ふと、こんな時たまに思うよ 普通の中学生だったらって」のフレーズ。たしかに普通の中学生ではないが、わざわざ自己言及する感覚が、三郎くんのたまらなく愛しいところだと思う。この歌詞を書いた三浦さんの意図が知りたい。(そこまでなかったりして…まあそれもいいんですけど)

それと、まさにフリースタイルダンジョン見てから初めてラップに興味を持ち始めた、まさに現在のラップブームゼロ地点にいる天﨑くんの、ラッパーを見てラップをしている感じが好きです。

たぶん、三浦さんがもし仮歌を入れてるならこんなラップってしていないんじゃないかと思うのです。むしろ「どうぞご自由に」「オーケーオーケー」などのセリフめいたところを日常会話のように言うと、より三浦さんの曲っぽさになるのかなと思います。

しかし実際は、天﨑くんが思うステレオタイプなラッパーの要素を取り入れている感じ。(イケブクロ自体がステレオタイプに寄せていく、というコンセプトだったのかもしれないけど)。ほかのディビジョンはわりと声優としてのセリフまわしてきな言葉の使い方に力を入れているのに対し、あまちゃんはラッパーになろうと挑戦している感じがします。

また、日常会話っぽくならなかったことのひとつの理由としてあまちゃんの発声法そのものが日常から離れたものとして訓練されてきたことにもよるのかもしれません。そんな声と三浦さんの楽曲が出会ってるところの不思議さもまた、声優楽曲の魅力なのかもしれません。

ラップの巧拙はおいておいて、あえて慣れないところに乗っていくあまちゃんの姿勢も好きだし、「本物になれてないそれっぽさ」もまた三郎のかわいさを体現する一つ要素になっていると思います。でも、ニコ生のフリースタイルもどんどんうまくなってるし、ぜひあまちゃんはラップってこんなにやればできるもんなんだよってところを見せてほしいです。

 

以上が今年の11曲でした。来年もこれ書くのだろうか…今年はもう昨年より曲数を聴いてないので来年はもう書けなくなってる可能性もありますが、ゆるっと男性声優さんは引き続き応援していきそうな気がします。