パノラマロジック

オタク怪文書

2015年男性声優楽曲大賞 今年の25曲(後編)

2015年男性声優楽曲大賞、後半は11位から始めます。

前編はこちら。

minaminanarial.hatenablog.com

 

11位 The dice are cast/QUARTET NIGHT

うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE レボリューションズ)

待ってたよ!カルナイのこういう曲!!!華やかな夜の香りがするサビが、QUARTET NIGHTを初めて聞いた時の高揚感をもう一度思い出させてくれました。カルナイって男性声優界で特に歌声が派手で濃いメンツを揃えていて、それぞれ組ませる相手を正直選ぶ人たちだと思うのですが、そういう人たちが4人集まるとちょうどいい塩梅になるんだなってひしひし思います。

 

10位 Seductive Summer/忍足侑士(CV.木内秀信

(新テニスの王子様

タイトル通りむせかえる夏の暑さを思わせる艶やかなホーンに彩られた、くっそおしゃれなアダルト歌謡曲。聞いていると「テニスの王子様」の忍足のキャラソンだって忘れそうになりますが、他でもない忍足役の声優木内さんが忍足のことを思って作詞作曲まで手がけたまごうことなきキャラソン、というところにこの曲のすごさを感じます。外部の人がそのキャラを理解しようとして作った曲ではこうはならないのでは。木内さんのことは恥ずかしながらこの曲で初めて知りましたが、木内さんがこの曲含めすべての作詞作曲を手がけた「You See?」は、その名曲揃いぶりに震えました。編曲者に松井寛、corin.が名を連ねているのもまた豪華。

 

9位 Shall we dance?/世良里津花(CV.花江夏樹)、村瀬大(CV.梅原裕一郎

SolidS vol.3)

走り出した恋のトキメキを歌った華やかな曲なのですが、派手さはなく、どことなく憂いを帯びた、祭りの後のような切なさのあるファンクになっています。ダンスという言葉を冠したディスコ/ファンクな曲は数あれど、こうした寂しげなさじ加減の曲は珍しいなと思います。花江くんの、のびのある高音と梅原さんのざらついた低音のコントラストもいいです。

SolidSのvol.3はどれも名曲なので今年イチの名盤と言ってもいいのでは。ランキングに入れようか最後まで悩んでたんですけど、花江くん演じるリッカソロの「Good Night My Darling」もほんとーーーに名曲。これはShall we dance?よりも、もっと実体のある寂しさを歌いあげるミディアムテンポの曲ですが、花江くんの歌声はどうしてこんなに寂しさを呼ぶのだろうと思います。個人的にこの歌詞はBLっぽいなと思ってて、花江くんのジェンダーレスな声と相まって、これを聴くとBL1冊読むくらいの満足感が。

 

8位 永久パラダイス/キタコレ(cv.小野大輔岸尾だいすけ)、THRIVE(cv.豊永利行花江夏樹加藤和樹)、Moons(cv.上村祐翔柿原徹也森久保祥太郎大河元気増田俊樹

B-project

オタクも持ってるヤンキーバイブス直撃のブチ上がりイントロから始まり、めくるめく展開とさまざまなボーカルに圧倒されてるうちに気づいたら曲が終わってしまうものすごい曲。ハニコさんも書いてたけど本当に機能的で現場で歌われることを最大の目的として作られたように思えます。男性声優の中でも声や歌い方にくせがある人ばっかり揃って、それぞれが各パートで個性を主張しつつも、1曲としてまとまった時に調和している感じ、まさに海鮮も肉も入った男性声優の横綱ちゃんこ鍋。鍋が食べたくなる1曲です。来年は西山宏太朗くんもBプロに追加されるということで、彼の個性がこの魑魅魍魎なメンツの中でどう生きるのかを思うと、楽しみでしかないです。

 

7位 Let’s Go!! LOVE Summer♪/地球防衛部(箱根有基(CV.山本和臣)、湯布院煙(CV.梅原裕一郎)、鬼怒川熱史(CV.西山宏太朗)、鳴子硫黄(CV.白井悠介)、蔵王立(CV.増田俊樹))

美男高校地球防衛部LOVE!

ピアノとホーンセクションが楽しげなオールドスクールなポップスに、忙しくなく挟み込まれるスカのリズム、そのうえで歌い出しなどはいきなりダッサダサな表拍になったりと、このガチャガチャ感がうれしい、楽しい、大好き!な2015年最高のサマーソング。防衛部のわちゃわちゃした感じにぴったりです。#最高の夏 だったな……。

2番の有基くんは主役にもかかわらず「助けてー」しか言ってないんですけど、ほんと、そういうところが防衛部らしさだなと思います。しかもこの「助けてー」が絶妙なんですよ。必要以上に大げさに助けを求めてなくて、あくまでも日常のよくある一コマとして、真剣に困った有基は「助けてー」と叫ぶんです。この大げさに言わないところに、「他人から自分がどう見えているのかを意識してなさ」つまり自意識のなさが伺え、それが有基くんと、CV.山本和臣さんの魅力なんだなと思います。

 

6位 初体験(First Experience)♡/ユズル&セナ (CV.蒼井翔太&CV.増田俊樹

全力少年達のおうたCD 3年生ユニット)

タイトルも歌詞もボーカルも「ザ・Rejet」といういかがわしさですが、80sなトラックがいかがわしさを増幅させつつオシャレさを放ち、聴くものを撹乱させる怪曲。蒼井翔太くんの艶かしいボーカルセンスは堂に入ったものですが、増田さんには増田さんなりのいかがわしさがあるなと思いました。幸村精市で、Max boysだった男が歌う「相当ギコチなさげに体位Switching♡」というサビが聞けるのはRejetだけ!

 

5位 たまにビター、それがベター/グリ(CV.島崎信長

(双子の魔法使いリコとグリ マジカルハット)

この曲の特筆すべき点はなんと言っても信長さんのラップです。信長さんていい声だし最近はとても表現力ある声優さんだなと思うんですけど相変わらず歌声が朴訥で、その素直な感じがたいへんよく現れたラップパートだったのでは、と思います。できてないとかそういうわけじゃないんだけど、なんか微妙にこなれてない、独特な味があるよね…。それにしても信長さんてやっぱいい声だなって、改めて気づかせてくれた曲でした。来年もさつきがてんこもり男性声優楽曲待ってます。

ちなみに、信長さんが過去に歌っていたさつきがてんこもり楽曲と言えばアニ○ズですが、この曲が発売された当日、奇しくも入江、西山、鈴木という当時のアニ○ズメンバーが集ってやってた大井町クリームソーダの第1回公演初日でもあったですね……。

 

4位 枕男子/めりぃ(CV.花江夏樹

枕男子

こんな曲、絶対に花江夏樹しか歌えないでしょ!!!!!ってほどに本人のパーソナリティと曲のコンセプトがマッチして圧倒的なポップさ、アニソンらしさを獲得した曲。っていうのも、2番の「僕としましょうよ〜」からの「今、へんなこと考えたでしょ?(無邪気な声のセリフ)」と来て「勘違いです!!!はっみっがっきー」と力強く歌い上げる流れを花江夏樹が歌い上げることがいかにギルティかを考えてみてください。ここでリスナーが言いたいことはただひとつ、「お前にいわれたかねーーーーーーよ!!!!」でしょ。数々のラジオで決してぼかさない下ネタをしれっと披露する花江くんの声で「僕としましょうよ〜」って言われたら100%下ネタにしか聞こえないのに、めりぃの声で無邪気に「今ヘンなこと考えたでしょ?」って言われると、本当に悔しい。花江夏樹ずるい。一般的な歌のうまさとは別の方向で花江くんの歌声はめちゃくちゃ”うまい”と言えると思います。そんな花江くんの持ってる才能を余すことなく感じさせてくれる大石昌良さんの曲。またこのコンビで曲作ってくださいお願いします。

 

3位 Against the Rules/apple-polisher(vo. NaL(CV.蒼井翔太))

DYNAMIC CHORD vocalCDシリーズvol.4 apple-polisher)

男性声優が歌うキャラソンて本当にロックが多いわけですが、こういうダンサブルなニューウェーヴ色の強いロックってなかなかないのでは。とにかくかっこいい、タイトな音の今っぽいロックに、過剰装飾気味で昭和的な蒼井翔太くんの歌声がとても合うという、すごい発見をさせてくれた曲でした。昭和的というのは全然disってなくて、むしろ蒼井翔太くんのハイカロリーで艶っぽい歌い方好きです。

DYNAMIC CHORDはバンドをメインにした乙女コンテンツですが、こうした既存の路線にはなかなかなさそうな、比較的骨太なロックの曲が多い印象です。同じDYNAMIC CHORD内のLiar-Sの「グッバイサブウェイ」もよかった。やっぱライブの後でファンを漁るのが楽しみだというバンドマンを描く乙女コンテンツなのでどこまでもリアリティ追求していくぜっていう気概が感じられますね。

 

2位 レッスンAtoB/柿原徹也

(アルバム「orange」)

こんなにたくさんの声色を使い分けてしっちゃかめっちゃかなロックを歌うなんて、まさに声優ならでは……と言いたいところだけど、これは完全に柿原徹也というくせのある人間のなせるわざなのでは!声優としてどうこうじゃなく!ハニコさんの言葉を引用すると本当に男性声優界の岡村靖幸って表現的確すぎる。そして、個性が強すぎる柿原徹也さんの魅力を骨も皮も余すことなく使い、更に120%にして曲にしちゃう佐伯youthKさん天才です……。

個性が強すぎるって、チャーミングではあるが、声優として結構ウィークポイントなのではって私は某声優さんを見ていて思うのですが、でも柿原さんが業界の荒波をサバイブしてこういう作品を残している姿を見ていると、柿原さんを憧れの存在としている彼も、未来は明るいのかもしれない、と思います。

 

1位 Re:born/Growth(衛藤昂輝 (CV.土岐隼一)、八重樫剣介(CV.山谷祥生)、桜庭涼太(CV.山下大輝)、藤村衛(CV.寺島惇太))

(ALIVE その3 Side.G)

現代音楽のような複雑なピアノのイントロから始まってドラムンベースに展開していき、突然変拍子が始まって、男性声優楽曲の中でも群をぬいて高難度なメロディとハーモニーをもって高みへと昇りつめる。この壮大な展開が素晴らしい曲だと思います。

アイドルコンテンツが雨後のたけのこのようにたくさん生まれた2015年でしたが、Growthは何もかもが変化球すぎました。かつてアイドルだったけれど事務所をやめた子達がもう一度「自分たちの音楽がやりたい」と新しい事務所へ所属することを目指すストーリーもさることながら、じょんさん特有のハモりへの偏執的なアプローチが見られるワールドミュージックのような曲の数々。わかりやすく売れ線ではないけれど、楽曲も歌唱もそれぞれクオリティがめちゃくちゃ高い。声優さんたちも毎回難しいって言いながらレコーディングに臨んでいるそうで、確かに歌手でもない人たちに歌わせる曲として「なんでここまでやるの?」って声も聞こえてきそうですが、それでもこれだけのクオリティの曲を生み出そうとする気概に感動すら覚えます。ということで、1位にしました。

Growthはほんと挑戦的なユニットだと思うので、来年の展開も引き続き楽しみです。2016年は山谷祥生さん売れてほしい!!!!

(去年の楽曲大賞で増田俊樹さん売れてほしいって書いたら2015年初頭刀剣乱舞に防衛部ですでに売れてる空気感あった……ので、もうすでに売れてるのかもしれない)

 

以上が2015年の私的男性声優楽曲大賞でした。改めてランキングをつけてみると、結局推し補正がめっちゃかかってしまってることに気づくけどおたくなので仕方ないよね……推しの人たちがいい曲歌ってくれるのを楽しみに2016年も元気におたくやっていこうと思います。永塚拓馬くんが声楽で鍛えた歌唱力を発揮してくれる曲待ってる。

おそ松さんのSIX  SAME FACESは12月発売のため、今回の楽曲大賞の選考外だったわけですが、どの松ver.も全部サイコーなんですが!しょっぱなハードル高い曲がリリースされてどうするんだ2016年。来年は、SIX SAME FACES超えをする曲がどれだけ出るか、という厳しい戦いになりそうです。