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OLDCODEXがVeni, Vidi, でViciだった

OLDCODEX2度目の武道館公演「Veni Vidi」に行ってきました。

https://www.instagram.com/p/BBpER3uATix/

ライブの面白い、つまらないを決めるのはその日のメンタルとか見てる場所とかに左右されがちで、すごく主観的な話なので、自分の今のこの高揚感が単なる自己暗示なのかもしれない気がしてこわいんだけどすんごく良かったしライブタイトルになぞらえて言うならば、勝利してた!おるどこでっくす!勝ちました!!!!

 
というのも、1週間前に「ああ来週武道館だなあ」と思って、やっと昨年の武道館公演「Capture」のブルーレイを開封して見ていたんだけど、やっぱり映像で見ても、去年の武道館つまんなかったなって思い出がよみがえってきてしまい、正直なところ今年の武道館にはそんなに期待してなかったのです。
 
なんとなくだけどいつもやってる2000人規模のスタンディングのライブハウスでやることをそのまま武道館でやろうとしていたような気がして。これならスタンディングでみんなでわーっともみくちゃになったほうが絶対楽しくない?この武道館の広さなくてよくない?椅子いらなくね?って思ってた。
 
今年のライブがよかったのは、まず左右にのびたステージの脇にリフトがついてて、まあ上下するだけなんだけど、そこに武道館の広さを使おうとしている気概が感じられたし、実際Night Flightはあそこに立って煽られてると、今確かにナイトフライトしてる!って感じで良かった。
 
何よりよかったと思うのは、感覚的にだけどおるどこでっくすの曲ってだんだんBPM遅い曲が増えてきていて、今年の武道館のセトリはここ1〜2年の曲がほとんどで構成されていたこと。広い椅子ありの会場で聴いても満足感があって、フロアの人波にのまれる高揚感を必要としない曲が増えてきたのもあるのかなあと思いました。
 
あといつもと決定的に違うのはここ最近のライブで腐るほどやってきた盛り上がり必至のダンスロック、kick outが封印されてたこと。kick outといえば、お客さんをステージにあげる曲として私達に刷り込まれてしまったがために、それが簡単にできない武道館にはむいてないという判断がくだされたのかもしれない……想像だけど。去年はたしかお客さんをステージにあげるかわりに菅谷さんに歌わせたことでスペシャル感はあったけど。今年は同じ手は使えないでしょってことで。
 
kick outがないことで、今日みたOLDCODEXはとっても新しいものに見えた。定番の煽り曲に頼らないってすごいことだ。新しいんだけど、しっかりかっこいいし地に足がついてる。武道館の2日目で、Ta_2YORKE.と、バンドメンバーみんなで最後に肩組んでたのも、初めて見た気がした。バンド!!!!!!だったのだ。当たり前だけど。バンドなんだよね。そういえばMCのときに「いつもみたいなことしようぜ」とかなんとか言ってTa_2くんがいきなりLimp Bizkitのmy generation歌い出してみんなで演奏しだしたのも、バンドだった。なんとなくのノリでその場で曲やっちゃうとか、バンドのライブでは当たり前に見る光景で、当たり前であるがゆえに、よくわからない感動に包まれました。だっておるどこでっくすは、ボーカルとペインターの二人で活動してる人達で、ボーカルの人は声優の鈴木達央さんでもあるから。
 
昨年の武道館でTa_2さんは、あの広いステージのうえでなんともなさげに「武道館、こんなもんかって思った」とあっけらかんと言い放った。でもあのあっけらかんとした感じがが逆にものすごい強固な鎧をつくっていた気がする。ものすごいただの強がりで平静を装ってたのだと思う。そう考えると、いきなりLimp Bizkit歌い出しちゃったTa_2さんは本当に去年に比べてステージが自分のものになってたんだろうね。なんか、調子こきすぎで笑っちゃうくらい。
 
そして本編のラストへ、畳み掛けるように演奏されたEyes in chase。この曲は、思い返せば昨年の武道館の終了後に、次回作の予告映像で流れた新曲だったはず。たった一年で新曲が、本編ラストに据えられて堂々としている。Eyes in chase以外の選択肢なんてないように思えてくるほど。だって、最後にTa_2さんの咆哮で終わるこの曲は、まさに武道館にリベンジを挑んできたバンドの勝利宣言のために書かれてたんじゃないかと思った。広い会場にフィードバックノイズのように漂う、人の肉声。あの瞬間に「勝った」って思った。
 
Ta_2さん自身も去年のリリースのペースを「気が狂ったようなペースで」って言ってたけど、本当にそのペースで曲を作ってライブをしてきたお陰で、OLDCODEXはバンドとして確かな強度を得たのだと思う。大きなタイアップがついて、新規のお客さんがたくさんついた一曲があると、だいたいそこばっかりが輝きがち。バンドもそこに頼ってしまいがち。でも、OLDCODEXはこの一年でリリースしてきた曲をやってるときが最高にかっこいい。最近の曲そんなに好きじゃない私がそう思うから間違いないわ。バンドがやりたいことと、バンドがかっこいい瞬間がマッチしてるって、いいことだと思う。Rage Onがもはや色褪せて聴こえる。
 
最後にTa_2くんがかっすかすの聞き取れない声で「いっぱいいっぱい曲書いてツアーもやるからついてこいよ」的な言葉を叫んだ瞬間が、もう、子供かよって感じで爆笑しちゃったんだけど、そうやって届かない声でいっしょうけんめいに叫んでる姿が愛しくてたまらなかった。ああこの人の小さな体ひとつで武道館にいる全員に届けたいんだなと。届けたい気持ちだけが先走りすぎてる。
 
かわいい。
怒られるかもしれないけど、かわいいの一言しか言えません。
これからも無理のない範囲でたつくんのこと追いかけたいと思いました。