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男性声優楽曲大賞2016 今年の27曲

2016年男性声優楽曲大賞を今年も選びました。今年は27曲!正直上位10曲以外は序列ってほどの序列がついてません。あと、推しのいる楽曲はやはりかなり上位に入れてます…。

ルールはこちら。

・2015年12月~2016年11月に発表された曲が対象

・1枚のCDから選べるのは1曲だけ

・しかし、これは!と思う1枚に限っては2曲選んでもよい

 超個人的男性声優楽曲大賞2016(前編) - and i like betty*

 

20位圏外

星空ランデブー/石膏ボーイズ(聖ジョルジョ(杉田智和),メディチ(立花慎之介),ヘルメス(福山潤),マルス(小野大輔) ) 

星空ランデブー

星空ランデブー

 杉田が杉田っぽい。石膏ボーイズだけに音がバキバキ重ためでかっこいい。あと、作詞のボンジュール鈴木がカバーしたバージョンがとにかくいいです。

Perfection Gimmick/IDOLiSH7(和泉一織(増田俊樹)、二階堂大和(白井裕介)、和泉三月(代永翼)、四葉環(KENN)、逢坂壮五(阿部敦)、六弥ナギ(江口拓也)、七瀬陸(小野賢章))

Perfection Gimmick

Perfection Gimmick

 たくさんある二次元アイドル楽曲の中でひときわ王道のパワーを感じさせた曲。メロディもトラックも歌詞もすべてがちょうどいい感じします。

Toy Garden/恋歌ロイド Type3 響&玲-キョウ&レイ-(寺島拓篤羽多野渉

イントロのスラップベースがめちゃかっこいいドラムンベース。ちなみに恋歌ロイドシリーズは細谷佳正の演じたType2が至高。

Fly away!/和泉一織(増田俊樹)、七瀬陸(小野賢章

Fly away!

Fly away!

 安定のshinnosukeさんっぽい80sなファンクサウンドにのせてクールなツンデレ弟キャラと元気主人公お兄ちゃんキャラの掛け合い「相変わらず生意気いつだってかわいげがない」「あなたにかわいいなんて思われなくてもいい」というときめきフレーズが胸を撃ち抜いてくる。「あなたにかわいいなんて思われなくてもいい」ってすごいよな。かわいいって思われる可能性があることを秘めているもんな。

Naked Moon Light/日向樹(浪川大輔) 、壁井柚(柿原徹也) 、朔久間柊(羽多野渉

イントロの不埒なベースラインに、笑ってしまうほどに吐息だだ漏れの浪川さんの不穏な声が重なるあたりからしてもう最高の予感しかない曲。柿原さんと浪川さんのアクの強い歌声が、夜の香りのバンドサウンドに絡まってかっこいいんだか笑っちゃうんだか紙一重。特に1番の最後の浪川さんの歌い方が、なんかもう。すごい。間奏のジャジーなギターも、ものすごくかっこいいのに、ここでも3人の吐息の音が重なって笑いをこらえきれない。ギリギリなかっこよさをひたすらいく問題曲。

Silent Oarh/Knights(月永レオ(浅沼晋太郎),朔間凛月(山下大輝),鳴上嵐(北村諒),瀬名泉(伊藤マサミ),朱桜司(土田玲央))

昨年のVoice of Swordに引き続き今年もKnightsの曲がかっこよかった。ミディアムテンポなR&Bなのかなと思いきや、サビでテンポアップし、メランコリックなメロディが高みに向かってより切なくなっていく展開がたまりません。元気な少年役の多いイメージの山下大輝さんの、艶っぽい歌声が遺憾なく発揮されてて息を呑みます。3次元ボーイズグループがリアルに歌いそうな曲。

Night Drivin'/小野賢章

Night Drivin'

Night Drivin'

 なんか、こう、すごい今っぽい感じしませんか。俳優としても声優としてもキャリアを積んでる今っぽい男の子が歌ってる曲としてど真ん中って感じでかっこいい。

20位:Sugar,Sugar/宮野真守

Sugar、 Sugar

Sugar、 Sugar

 宮野真守さんの出す曲がいいのはもう明白なのでわざわざ書くのもどうなのかと思いつつも、やっぱりいい曲なので入れてしまった。低音の効いたディスコが最近のK-POP(ていうかSMエンタ)の流れを汲んでるみたいだ、というレビューにしようと思って作曲クレジット見たら、ほんとにそっちのクリエイターの方でした。

19位:border-line/寺島拓篤 

border-line

border-line

 ポップでいることも、耳ざわりのよさも捨てて、クラブミュージックっぽい音像とひたすら変化していくビートの面白さだけで聴かせていく、男性声優楽曲として思い切ったものになっています。この曲で一番派手なのは間奏部分で、歌はどちらかと言えばトラックより下位に置かれているような印象。歌ものとしての優秀さを求めないことで曲のかっこよさを守りきった感じがします。寺島拓篤さんのストイックな声優としてのスタンスがソロワークスのこうした思い切りのよさに現れているのかもしれないなと思いました。

18位:花丸日和!/大和守安定(市来光弘)・加州清光増田俊樹

花丸◎日和!

花丸◎日和!

 和楽器が入ると変に和のテイストを意識した楽曲になりがちだと思うのですが、この曲はそれがなく、ポップなバンドサウンドになっています。軽やかな和楽器の音色に、安定と清光の丸っこいボーカルと、「いえー」とか「ふー」とか脱力感のある合いの手がかわいい。女性声優の曲っぽいなと思いました。

17位:/月皇遥斗(子安武人

Everlasting Moon

Everlasting Moon

 山下達郎堂島孝平がジャニーズに提供するようなアーバン歌謡な曲は、男性声優にもちらほらあるにはあるけれど、もはやオールドスクールな「男性声優」のアイコンとして存在するベテランの子安さん(子安で画像検索すると私の言いたいことがわかるはず)が歌っていることで、曲の持つ歌謡曲っぽさに納得感をもって聴くことができます。過剰にならないあっさりしたボーカルが心地よい。スタミュはやく2期やってくれ。

16位:iiiiiLOVE YOU!!!!!/芹澤悠吏(浪川大輔)、不破渓士(前野智昭)、桃越ハル(鈴村健一)

iiiiiLOVE YOU!!!!!

iiiiiLOVE YOU!!!!!

  • 芹澤悠吏(CV:浪川 大輔)、不破渓士(CV:前野 智昭)、桃越ハル(CV:鈴村 健一)
  • アニメ
  • ¥250

 突如ハイテンションなピアノとホーンセクションで曲が始まり、浪川さん演じる芹澤の不穏なボーカルが「学校帰りの公園」と状況を説明してくれると前野演じる不破&鈴村さん演じる桃越の「ああ、君か」「ねえこんなところで何してるの?」とセリフが入り、開始30秒でリスナーは藤城学園のマドンナになれます。最終的に「アイアイアイアイアイラブユーがあいあいあい、合言葉さ!」という突き抜けたサビで告白され、圧倒されていると突然鈴村さんのラップパートがねじ込まれ、矢継ぎ早にまたミュージカル調なボーカルやセリフが繰り出される、ひたすらハッピーでシアトリカルな一曲。終わったと思ったら不破の「からの、もう1回」でまた再開するのも、男性声優が歌う曲ならではの遊び心に溢れています。

ていうか、この曲もっとたくさんの人で歌ってるんだと思ってた……あと、キャスト見ないで聞いてた時、ラップパートは鈴村さんじゃなくて森久保さんだと思ってました。

15位:Sweet Sweet Sweet/一条シン(寺島惇太 

Sweet Sweet Sweet

Sweet Sweet Sweet

 今年の上半期、おたくの話題をさらった『キンプリ』主人公、一条シンくんのソロ曲は、「likeとloveの違いも僕には見分けがつかなくて少しがっかりさせてるかな」などのシンくんらしいウブで純情なフレーズに溢れています。単純にそれだけだったらまだお行儀が良いラブソングですが、問題は「方向一緒だから送るね。そんなの嘘だよ気付いてるんでしょ?」というフレーズが意外すぎて…。好きな女の子に近づきたくて嘘をつくあたりに、更に「僕のsweetなんてあなたには子供だましだけど」というフレーズに少し拗ねた表情を見せる歌声に、一条シンくんの男としてのいじらしさを感じて、聴いていて邪悪な笑顔にならざるをえません。いや、もっと言えば「あなたには子供だましだけど」であからさまに拗ねた声で歌ってくるあたりに、今年一番見つかった感のある男、寺島惇太の声優としてのいじらしさを感じてしまいます。ゆるんだ笑顔で「趣味はパチスロ」と公言するのに、声優として決めるところはきっちり決めてくる、素直に「売れたい」と言ってたじゅんた。来年も目が離せない。

14位:Day you laugh -latin style-/豊永利行 

Day you laugh -latin style-

Day you laugh -latin style-

  • 豊永 利行
  • アニメ
  • ¥250

 昨年リリースされたシングルDay you laughのラテンアレンジ。原曲ももちろんかっこいいのですが、ラテンアレンジが更に、豊永さんの歌声の骨太な男の色気を研ぎ澄ませています。アレンジ自体は原曲に比べシンプルになった印象ですが、物足りなさを感じさせないのは圧倒的な歌唱力があってこそ。個人的にはこっちのほうが豊永さんの声が際立つので好きです。純情だったり気弱だったり子供っぽい役を軽々やってのける高い声の中に、30代男性の色気を同居させる豊永利行ってすごいな…というのを改めて感じた2016年でした。ハイスピード!にもB-projectにも、SOARAにも文豪ストレイドッグスにも、どこにでもいるのにそんな豊永さんの凄さに年末のユーリ! on Iceで初めて気づくなんて手落ちでした。そもそもこんなかっこいい曲を自分で作ってるというのを今年初めて知ったなんて完全に手落ちです…。自分で作曲する超絶歌の上手い声優…そんな人他にも思い当たるわけですが、本当に推すべき存在は、豊永さん、あなたなのかもしれません。すみませんでした。

13位:Check it love!/Epicurian(戌井ケラ(江口拓也), 木戸ロミオ(増田俊樹),御剣サエ(島﨑信長), 一色ノゾミ(鈴木裕斗))


【Rejet】FORBIDDEN★STAR Epicurean「Check it Love!」 MV

缶バッチ量産会社として名高いrejetですが同時に名曲を量産する会社でもあるrejet。80sエレクトロなイントロがかっこいいUNICORN Jr.の「F.A」も入れようか悩んだけど、Epicurianの「Check it love!」は2次元ボーイズグループとしてのポップさとシンプルかつ力の抜けたバンドサウンドのかっこよさの同居が珍しいなと思ったのでこっちを入れました。意外とこういうロックは男性声優は歌ってない気がする。「Please kiss my love」のところもかっこいい。なんかちょっとNEWSのFightingManににてる気がしなくもないですがVERY GOOのクリエイターの作曲だったので目を瞑ろう。ぎょすと信長くんが同じグループにいてアニ◯ズだ!って思えるのも、キズナイーバーで信長くんと西山さんが共演した2016年らしくてよいです。

12位:イっちゃいそうだよ/F∞F(愛童星夜 (KENN)、湊奏多(井口祐一)、御剣晃(豊永利行))

ミュージック│アイ★チュウ 公式サイト

チープなビートにチープなラテンめいたシンセが乗って疾走感のままに最後まで突っ走ってしまう。あいた音の隙間を埋めるようにKENNアンド豊永さんのカロリー高めな歌声が響くのでちょうどよし。更に、このハイカロリーな二人の歌声の狭間で最高に脱力させてくれる井口さん演じる湊くんの不安定な歌声が、アクセントになってて、なんだかクセになってしまう。声優っぽいいびつな魅力に満ちた曲だなと思います。アイチュウの曲って全体的なチープさは否めないけど地味にいい曲が多い。

11位:トップランナー入野自由

トップランナー

トップランナー

 佐伯youthKの曲にMummy-Dの歌詞というクレジットを見ただけでいい曲の予感しかなかったですがそれをまったく裏切らない曲でした。自由くんのフロウがMummy-Dまんまで、「I am I」とはまったく違うところに彼の器用さを見てしまいます。声優として、あるいは舞台役者として若くしてトップランナーになった彼が海外留学を発表し、その直前にリリースしたこの曲で、「悪くない、いや、決して悪くないが何かが足りないんだ」と瑞々しい焦燥感を歌い上げるなんて、かっこよすぎる。しかも、こうした純粋に高みを目指そうと走り出す若者の焦燥感について歌詞を書いてるMummy-D本人は、RHYMESTERで”ひたすら走り続けて、走り続けるうちに背中を追ってたライバルもいなくなった”という曲「フットステップス・イン・ザ・ダーク」を作っている、というのもこの曲の面白さ。「今俺はトップランナー?ラストランナー?いずれにせよバトンは握ったままさ」という、走り続けた先の決して晴れやかでない景色を見ている40代の男が、走り出そうとする20代の男の詞を書くと、説得力が違うなと思います。

 

ベスト10

10位:You Only Live Once/YURI!!! on ICE feat.w.hatano 

You Only Live Once

You Only Live Once

  • YURI!!! on ICE feat. w.hatano
  • アニメ
  • ¥250

 最初から最後まで繰り返される短いフレーズが一曲をつらぬく構成はアニメのEDとしてすごい優秀。さらにこの曲にinstagramを次々と見せるアニメーションをつけたユーリのED制作スタッフも優秀。EDテーマとしての機能に特化しすぎて1曲通した全体の展開がやや単調だったのが残念ですが、美しく儚いフレーズのループに「このままユーリ!!! on ICEが終わらなければいいのに…」と願ってしまいたくなるので、名曲には違いないのです。

9位:KUMAMIKO DANCING/雨宿まち(日岡なつみ)&ナツ(安元洋貴) feat.熊出村のみなさん

KUMAMIKO DANCING (feat. 熊出村のみなさん)

KUMAMIKO DANCING (feat. 熊出村のみなさん)

 ほ、星野源オールナイトニッポンでこの曲絶賛してたからランキングに入れたわけじゃないんだから!この曲かけた時に「僕、安元さん大好きなんですよね…安元さんになら抱かれてもいい」とか星野源が言ってたせいで、星野源のことを見直すきっかけになり、今や星野源を見ただけで興奮して「げん〜〜〜〜〜!!!!!!」て叫びたくなるし、安元さん自身も星野源が大好きで、その後星野源オールナイトニッポンスペシャルウィークゲストとして安元さんが登場したのが今年一番興奮した思い出だったからといってこの曲をランキングに入れたわけじゃないんだから……!!!!

すみませんでした。

そういうのを抜きにしてもこの曲が面白いなあと思うのは、太鼓や笛の音、琴の和音階が入って、更に熊出村村民の田舎なまりラップも入ってアニメの世界観そのままなのに、ビートが立ってて、削ぎ落とされた今っぽい音になっているところ。サビ前のラップのところとか、なぜかかっこいい。星野源も言ってたけど、間奏で村民の台詞が入ってくるところ、裏で鳴ってる控えめで叙情的なエレクトロピアノがとてもよい。

星野源はserphっぽって言ってた。確かにそうかもしれない)

8位:LAPIS BLUE/SOARA(大原空(豊永利行)、在原守人(小野友樹)、神楽坂宗司(古川慎)、宗像廉(村田太志)、七瀬望(沢城千春))


ALIVE(SOARA・Growth)/SolidS花鳥風月シリーズ「鳥」MV 6月24日発売予定!

2016年のSolidSGrowthSOARAシリーズはだんだんとそれぞれの「らしさ」という枠が溶け出してグループごとに表現の幅が広がっていった印象でした。SolidSが「ライアクライア」のようにGrowthのような美しいハーモニーの曲を出したのも驚いたし、青春バンドサウンドがコンセプトだったSOARA変拍子に乗って叙情的なメロディを歌う「LAPIS BLUE」も、新鮮でした。ていうか、じょんさんっぽさ炸裂。

SOARAは豊永さんと小野さん以外もボーカルをとるようになってから、ぐっと面白くなった気がします。特にLAPIS BLUEは歌い出しの古川さんの低い声が情感たっぷりに聞かせてくれて一瞬で引き込まれる。そしてBメロで、一番SOARAっぽい青臭さを体現する沢城千春さんの声が聞こえてきて、最後の最後に「見渡す限りのLAPIS BLUE」というタイトル通りの、たった一言のフレーズを、ミスターSOARAの豊永さんが歌うところが最高にサビまでの期待感を煽ります。

「はやりの髪型やおしゃれもしないで僕らが真面目に極めた紙飛行機」ってフレーズを豊永さんが歌う時の、青春の象徴としてのSOARAの説得力なんなんだろうね。ていうか豊永利行の声がキャラクターを持った時の説得力すごいよね。

7位:ドラマチックLOVE/(一条シン(寺島惇太)、太刀花ユキノジョウ(斉藤壮馬)、香賀美タイガ(畠中祐)、十王院カケル(八代拓)、鷹梁ミナト(五十嵐雅)、西園寺レオ(永塚拓馬)、涼野ユウ(内田雄馬))

ドラマチックLOVE

ドラマチックLOVE

  • 一条シン&太刀花ユキノジョウ&香賀美タイガ&十王院カケル&鷹梁ミナト&西園寺レオ&涼野ユウ(CV.寺島惇太&斉藤壮馬&畠中 祐&八代 拓&五十嵐 雅&永塚琢馬&内田雄馬)
  • アニメ
  • ¥250

2016年前半、多くのおたくがキンプリを見に足繁く劇場に通っていましたが、1時間フルボッコで殴られるようなアニメを見た後でくたくたになっているところに、清涼剤のようなこのEDテーマが流れてくるのが、気持ちよすぎて劇場に何度も足を運んだという人も少なくないはず。何年たっても飽きないし色褪せない美しいポップソングです。サビ前に音がぱったりやんで「恋した」と呟くように歌われるところに、しみじみと「恋って美しいなあ……」と思ってしまう。

ちなみにEZ DO DANCE-K.O.P REMIX-も入れようかと思ったけどあっちはカバーだからということでこっちにしました。プリリズシリーズでいくつかボーカルが異なるEZ DO DANCEのリミックスがありますが、K.O.P REMIXがすごいのは、完全にGackt歌唱な恐るべき19歳武内くんに、小室サウンドを歌わせたところ。小室哲哉の時代を経験していないのであろう若者から放たれる伸びやかなファルセットがこんなに小室サウンドにマッチするとは新感覚すぎた。そこに追随するだーますさんも、この曲では武内くんに負けないように強めの歌い方してるのが好きです。がんばってる。

EZ DO DANCE -K.O.P. REMIX-

EZ DO DANCE -K.O.P. REMIX-

 6位:歓迎☆トゥ・ウィンク雑技団/2wink(葵ひなた(斎藤壮馬),葵ゆうた(斎藤壮馬))

歓迎☆トゥ・ウィンク雑技団

歓迎☆トゥ・ウィンク雑技団

  • 2wink/葵ひなた&葵ゆうた(CV:斉藤壮馬)
  • アニメ
  • ¥250

ユーロビートに、雑技団イメージのエキゾチックなシンセがのってるのが癖になる1曲。チープなピコピコをこれでもかと重ねて豪奢な大宮殿を建造しちゃったみたいなきらびやかさ。と思えば間奏でダブステップっぽい低音が音がちらちら入ってくるのが異素材の重ね合わせみたいで楽しい。男性声優楽曲でなかなかユーロビートを聴いたことないかもしれません。そんなかっこいい曲も壮馬くんのクセのなく安定したボーカルがあるからこそ際立つなと思います。

 

ベスト5

5位:カレイド TOURHYTHM/Jupiter&W(天ヶ瀬冬馬(寺島拓篤)、御手洗翔太(松岡禎丞)、伊集院北斗(神原大地)、蒼井享介(山谷祥生)、蒼井悠介(菊池勇成))

カレイド TOURHYTHM

カレイド TOURHYTHM

  • Jupiter & W
  • アニメ
  • ¥250

 あちこちでさまざまな音が、絶妙なバランスで鳴っててまさに歌詞の通りカレイドスコープのような煌びやかさのあるアイドルポップスです。過剰とも言えるほどの数の音を重ねている気がしますが、それは世代も毛色も違うJupiterの声優寺島たっくまん、つぐつぐ、神原さんとWの山谷くん、きくてぃーが混ざり合って歌ってることに呼応しているよう。この2つのグループをつなぐ曲として素晴らしいなと思います。イントロも、「冬馬!」(冬馬!)「悠介!」(悠介!)とひとりひとりJupiterとWのメンバーの名前を交互にコールしつつ、高鳴る鼓動のようにビートが速くなり、サビで一気に視界が開けるような始まり方で、2つのユニットの新しい出会いのドキドキ感を印象づけていて最高。あーーーーやまやくんこんな曲と出会えてよかったねーーーーーーーーーー!!!!

4位:SEKAIはボーイミーツボーイ♂/坂口亮(羽多野渉 

SEKAIはボーイミーツボーイ♂

SEKAIはボーイミーツボーイ♂

 5分の意味不明コンセプトのゴリゴリ女性向けアニメに突如として流れてくるいいテーマソング!という怪奇現象のようないい曲との出会い方、2015年は「枕男子」であったことですが、2016年はこのアニメでした。曲がいい。でもそれ以上にこの曲を羽多野渉さんが歌うところに過剰な意味を見出してしまう腐女子の私がいます。

腐男子高校生活」というアニメは”腐ってる人あるある”を腐男子の主人公が腐男子目線で語る(そしてその視聴者はおそらくだいたい腐女子)という禍々しいコンセプトの作品です。BL自体が、大雑把に言えば性愛を男性同士で描くことで女性読者に神の視点と共感の両方を与えるという側面がありますが、そんな腐女子自身を「みられる側」に引きずり出してその姿を描き同士の共感を呼ぶのにも、あえて男性主人公を起用して読者を作中の人物から一歩遠ざける、という手法が使われるのが、色々な理由はあるんでしょうけど、なんだか腐女子が当事者であることからひたすら逃げるようにも見えてすごいなあと思ったのでした。

で、アニメに出演している声優陣はおそらく意図的に全員BLCDでよく名前を見るキャストで揃えてて、「BLCDでBLを演じていたキャストがBLを楽しむ側まで演じる」という構造の能天気な面白さもあるのですが、同時に、ここにひたすら逃げる腐女子をつかまえるリアルの網みたいなものも見える気がします。

それを一番表してるのがこの曲、「SEKAIはボーイミーツボーイ」ではないかなと。ピアノとホーンセクションの賑やかしいポップソングの上に無理やり感のある譜割で「東館2時間待ちシャッターは俺に任せろ」「ヘタレ攻め 襲い受け 無限大」というおたくからしたら赤面したくなるようなジャーゴンが散りばめられている、おたく的パーティーソング。でもそれを真摯に楽しく正しく歌い上げてるのは実在するキングオブ結婚したい男性声優34歳の羽多野渉さんなのです。この曲がポップソングとして優秀であればあるほど、羽多野さんが真剣に歌えば歌うほど、腐女子としては、我々の欲望を真摯に受け止めてくれて正しく提供してくれる、腐ってない人(しかも男性)の存在をありありと見せ付けられてる気がしてなりません。

しかも聞いた話だと、落ちサビの「逆カプだめかも」は羽多野さんがアイデアを出したとか…。さすが5色のリップ音を使い分け(「犬と欠け月」フリートークより)、近年初めてBLCDに出る有望な若手声優に伝統芸を伝承していく攻役を担うことが多い羽多野さんです。我々の欲望に真摯に向き合ってくれてありがとう…という深い感謝でいっぱいになります。 

3位:SIX SHAME FACES〜今夜も最高!!!!!!〜/トト子 feat.おそ松×カラ松×チョロ松×一松×十四松(遠藤綾櫻井孝宏中村悠一神谷浩史福山潤小野大輔入野自由)

SIX SHAME FACES ~今夜も最高!!!!!!~

SIX SHAME FACES ~今夜も最高!!!!!!~

 男性声優楽曲で「いい曲」というのを考えると、曲がいいだけじゃなくて、男性声優が歌う意味、つまり演じてる世界観やキャラクターが無理なくそこに現れてること、むしろその世界観をより鮮やかに見せるものなんかが「良い」の条件になってくるのかなと思っていて、その意味では「おそ松さん」EDテーマ2曲はド真ん中の大正解を叩き出しています。ここまでかっこいいトラックとアニメの世界が無理なく両立するどころかぴったりとはまってて、更に声優をうまく使った曲ってそうないなと思います。

「SIX SAME FACES」も良かったですが、こっちの「SIX SHAME FACES」のほうが単純に好みなのと、声優楽曲として美味しいかなと思ってこっちにしました。この曲が声優楽曲として美味しいと思うのは、クズニートの六つ子のセリフで構成される1番に対比する形で、F6の台詞で構成された2番があるところ。F6はクズニート6つ子とパラレルで存在するイケメンな6つ子ですが、そもそもこのF6っていう乙女向けコンテンツパロ自体が、「おそ松さん」に起用された声優のコンテクストを汲んで作られてるところがあり、声色で物語を転換させるというのは声優楽曲ならではの面白さだと思います。

キンプリの西さんがおそ松さんの音楽の担当もしていたようなので、どう関わってたのかはわかりませんが、西さんのオーダーでこの曲もキンプリの曲も生まれてるなら西さんはほんとすごい人。

2位:スリム・ボーイ・スリム/ひょろっと男子(梅原裕一郎西山宏太朗

(公式で試聴があがってないのがくやしい!ぐぐってください…)

いつかは出るだろうと思っていたラジオ「ひょろっと男子」のCDシングル。放送開始当初から、いつかはこの番組を次世代のDGSみたいなものにしたい気概が制作サイドから漂っているなと思っていましたが、リリースした「ひょろっとらぶ」収録の2曲がこんな完成度になるなんて、まさか想像してなかったよ!「ひょろっと男子」にかける大人たちの気合いのすごさを見たCDでした。80sアイドルソングのオマージュがいかにも2016年っぽい「ひょろっとらぶ」の勢いもすごいけど、「スリム・ボーイ・スリム」が文句なしにかっこいいのでこっちをランクインさせました。あまりにかっこいいと思ってたら寺島たっくまんのborder-lineの柘植さんとこっちのTSUGEさんは同じ人だったんですね。

際立つ低音にサンプリングを組み合わせたような音のラップパートから、キャッチーなサビへ展開する構成もいいし、「共に歩くランウェイ」のところで、それまで梅原さんの声がどちらかと言えばメインだったところ、西山くんの声がファルセットの一瞬だけメインとして逆転するのが気持ち良い。このパートがあることで、うめこたっていう低音&高音コンビが歌う意味がこの曲にあるんだと思わせてくれます。

西山くんて歌い方のクセが強いイメージあったけど、いろんな曲を歌う声優になったことで、癖がなくなって歌声が垢抜けましたよね。西山くんの声のよさが現れているという意味でも胸がいっぱいになるいい曲ですね…。あと西山くんの趣味からすると「ひょろっとらぶ」みたいな曲を歌えて嬉しいに違いないはず。

ひょろっと男子の「ひょろっとらぶ」、おそらくアニメイトとA&Gショップくらいにしか売ってないしラジオ番組発のユニットだから手に取る人も限られてると思うのですが、そういうところにいい曲が眠っていたりするのが声優楽曲を聴くことの楽しさでもあるんだなあと思いました。かつて諏訪部さんと鈴木達央がやってたラジオ「集英乙女研究部」から生まれた、恐ろしくいい曲しかないアルバム「乙女番長」を、リアルタイムで楽しんでいたらこんな気持ちだったのだろうか。

最後の「どうタフだろう?」っていうラジオのコンサプトから拝借したフレーズも、笑っちゃうけど笑えないほどセクシー!!!ひょろっと男子最高だな!!!!(ってもう1年くらい聞いてないわたしが叫びます)

1位:Be My Steady/Galaxy Standard(諏訪怜治(宮野真守)、黛静馬(平川大輔)、千代松万太郎(江口拓也)、妹尾匡(鈴木達央)、黛遊馬(小野友樹)、奥村楓(豊永利行))

Be My Steady

Be My Steady

 2016年は男性声優ドラムンベースをたくさん聴いた気がします。寺島&羽多野の恋歌ロイド「Toy Garden」とか、リコとグリの「チョコをください」とか、SolidSの「Lily-寄り添う百合のように-」とか。でもこの曲が抜きんでて素晴らしいと思ったのはR・O・Nくんの最大の魅力である憂いのあるメロディラインです。R・O・Nくんと言えばパンチのあるデジタルロックというイメージがありますが、それ以上に彼の魅力はメロディメーカーであることだと思います。主張の強いデジタルサウンドの中で、憂いのあるピアノがずっと鳴り続けて、「打ち合わせしよう未来の待ち合わせキャンセルされても 星の一生からすりゃこんなのすら一瞬」という、半径2メートル内の僕とキミの恋が宇宙サイズに膨らむ歌詞をロマンチックな説得力で聞かせてくれる。

イントロの儚げな始まり方も、それぞれのパートのつなぎかたも、ツインボーカルをいかした波のように次々にたたみかけてくるサビも、そのすべての構成が最高。

また、この曲はキャストが豪華すぎる。なにせ小野友樹鈴木達央らをバックボーカルに従えて宮野真守豊永利行が掛け合いで歌うっていう。なにその、大トロとズワイガニを下敷きにして、いくらとウニをのっけた海鮮丼みたいな贅沢さは。

更に言うと、この曲はR・O・NくんがOLDCODEXを脱退して以来初めて、鈴木達央R・O・Nくんの曲を歌ったというメモリアルな曲でもある。(他にあったらすみません)あくまでもバックボーカルとしてだけど。でも、そんな達央に与えられた短いソロパートの歌詞が「君がいなきゃ世界なんて不完全」だったのも、なんという因果か。そういうのも含め、本当にすごい曲。

 

以上、2016年の男性声優楽曲を振り返ってみました。

なんという豊永利行率よ…。次いで増田俊樹と寺島さん羽多野さんて感じでしょうか。来年もそこそこに、男性声優の曲を聴いていくのだと思います。

2017年はWITHLINEの男性声優が歌う「knowing」(?)がきっと音源化されるはずなので、それをランキングに多分入れると思います。2017年も引き続き山谷祥生さん売れて欲しいです。あと市川太一くん。