読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

パノラマロジック

好きすぎて胸が苦しいブログ

音楽と歌声だけで次元を超える試み ツキプロライブ2016in中野で見たGrowth

2次元の男性アイドルキャラクターを、3次元である声優がパフォーマンスするライブイベントが、ここ数年で盛んに行われるようになりました。こうしたライブイベントでの声優の立ち位置は不安定なところにあるなと常々思います。

「声優の歌ってるところがみたいわけじゃーんだよな」

という非難の声が上がるのも無理はないと思います。声優はキャラクターの声を担う役者でしかなく、あくまでもイベントにおけるご本尊様はキャラクターですから。しかし、パフォーマンスをするのは本来キャタクターの「一部分」でしかない声優。この次元の壁をどう超えて、お客さんにコンテンツをライブ体験として届けるのか、さまざまな2次元アイドルコンテンツのイベントに参加していると、それぞれのコンテンツが試行錯誤を重ねていることが見て取れます。

今年の始めに開催された「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVELIVE 5th STAGE」は、その圧倒的な人気と規模の大きさだからこそできる、試行錯誤のひとつの到達点を見せてくれた気がします。3次元の男性アイドルさながらの難度の高いダンスや、ワイヤーアクション、花道を車に乗っての移動などのド派手な演出を取り入れることによって、単なる声優のイベントを超えた「アイドルのステージ」を作り上げ、次元の壁を融解させようとしていました。そのステージは、アニメで見たきらきらしたライブ映像を3次元で再現していく試みだったように思います。

 

 

ただし、どのコンテンツもうたプリのような規模の大きさがあるわけではありません。それぞれのコンテンツで、ライブのあり方を模索しているところだと思います。そのひとつである、架空の二次元芸能プロダクション「ツキノ芸能プロダクション」(通称ツキプロ)の所属アイドルのステージイベント「ツキプロライブ2016in中野」に行ってきました。

ツキノ芸能プロダクションもまた、2次元と3次元の壁を超えることをさまざまな形で試行錯誤してきたコンテンツです。2次元アイドルが歌う曲を、ダンサーが歌っているかのようにパフォーマンスしたり、声優がキャラクターを演じつつアドリブでラジオ番組の公開生放送したりと。そして、この日のステージでまたひとつ、声優とキャラクターという次元の壁を融解させる試みが見れたような気がしました。それは、ツキプロに所属するGrowthというユニットのライブパフォーマンスで感じました。

about | ALIVE

この日のGrowthのライブが特徴的だったのは、まず衣装が完全な2次元キャラクター衣装の再現ではなかったところです。ライブイベントにあわせたキャラクター達の新規イラストも、ライブTシャツに私服のアレンジを加えるというラフなものになっていて、それに出来る限り声優側も着るものを近づけている、という印象でした。他のイベントでは、すでに存在するアイドルのイラストの衣装に限りなく似せた2次元的な衣装を声優が着ることが多く、3次元でのライブには衣装をいかに2次元的にするかが結構重要な要素だと思っていたので、新鮮な印象がありました。(以前からGrowthはあまりデコラティブな衣装を着てはいませんでしたが、この日は逆にキャラクター達が3次元的な衣装に近づけていたように思います)

スタイリングこそ3次元的ではあったけれどGrowthとしてステージに立った声優4人は完璧にGrowthでした。彼らをステージ上でGrowthたらしめていたのは、楽曲の力だったと思うのです。

以前、男性声優楽曲大賞2015でも書いてましたがGrowthの楽曲は非常に特徴的です。大手の芸能事務所に所属していたアイドルの卵だったキャラクターたちが、新しい自分たちの音楽を始めたいと思い結成したのがGrowth。その楽曲は作曲者のじょん自身が「ありふれたアイドルソングへのアンチテーゼ」と言うように、他のアイドルコンテンツではまずない難解な変拍子やハモり、スキャットが多用され、ワールドミュージックのような特異なメロディーが印象的なものばかりです。

 


ALIVE side.G(Growth) vol.4収録楽曲クロスフェード試聴

 

そうした難度の高い楽曲を生でパフォーマンスするからこそ、Growthの出演声優である土岐くん、山谷くん、山下さん、寺島さんそれぞれの音楽と向き合う真剣な表情が見られたのですが、それがまさにGrowthの昂輝、剣介、涼太、衛たち、キャラクターそのものに見えました。Growthは現在のところ、ドラマCDと楽曲しかなく動いてしゃべるキャラクター達がまだいないところにアドバンテージはあったかもしれませんが、この4人にまるでキャラクターが当て書きされていたんじゃないかと思えるくらい、Growthがステージにいたのです。

重要なところで完璧に美しい歌声を響かせる土岐くんの姿はストイックな昂輝だったし、ひとり自由に体を揺らし、楽しそうに音楽に身をまかせる寺島さんがしっとりと低い歌声を響かせる姿は、おっとりして隙があるけど天才的な音楽センスを持つ衛でした。山下さんは「自分と涼太は真逆なので!」とよく言ってたけれど、山下さんの持つすごく真面目な部分がGrowthの曲と向き合うことで引き出されていたような気がしてクールビューティーな涼太の表情を見せていたと思います。

何より印象的だったのは、夜の部で最後の曲「空想のレトロ」を歌い上げた後の4人の表情です。難度の高いハーモニー重視のセットリストの最後に歌われた「空想のレトロ」は、Growthの曲の中で珍しくほとんどがユニゾン。緻密なハーモニーを4人で作り上げる他の曲とは別の方向性で「4人で作り上げる」という意味の強い曲でした。(そういう曲を最後に持ってくる采配も素晴らしい!)ただし、とてもキーが高く(開演前に、この曲ライブでやったら尊敬するわwって話してたほど)生でのパフォーマンスは相変わらず難しいものだったと思います。

この曲を歌い終わってアウトロが流れるなか、山谷くんが、やり遂げた開放感に満ちた顔でみんなの顔を見回して喜びを分かち合おうとする姿が、Growthのムードメーカーの剣介でしかなかったのです。それに呼応して、皆がお互いの顔を見合って満ち足りた表情をしているのを見ていたら、GrowthのドラマCDで聴いていた、パフォーマンスした後の4人の表情ってこんな感じだったのかな?と思えました。

また、4人で曲にあわせて簡単に振り付けのようなものを考えてパフォーマンスしていったという話も、まるでGrowthのドラマCDにありそうなエピソードだと思いました。それもひとえに、真剣に4人が楽曲と向き合ったことで生まれた発想だったのだと思います。空想のレトロの「君がいるから/僕もいるんだ/離さないよに/指を結んだ」という歌詞に合わせて小指を4人でつきあわせて上にあげる振り付けは、もし今後Growthがアニメ映像化されることがあれば再現して欲しい部分です。衣装や演出こそ簡素だったけれど、楽曲と歌声で次元を超えるところを見せてくれて、このシーンは見ていて胸が熱くなりました。



ツキプロの楽曲はどれもクオリティと声優のキャスティングが素晴らしくて、限りなくそのキャラクターと声優のパーソナリティが密接に結びついているように思います。

例えば、この日披露されたSolidSのDARK MOON ANGELは江口さん特有の低音と花江くんの女性声かっていうほど高い上ハモが絶妙で、この二人のハーモニーをライブで聞けるというのがとてつもなく幸せでした。ていうかこの男性声優ドラムンベース本当にかっこよすぎです。この曲にのせて花江くんと江口さんの二人に高低極まったハーモニーを歌わせようとしたその発想がすごい。


SolidS vol.2収録楽曲クロスフェード試聴

 

それからSolidSの楽曲はほとんど、かっこよく決める低音パートは梅原さんが担ってるのも確信犯的。さらに、この日のライブで一番びっくりしたのは、音源で聴いてていい意味で目立たないというか馴染んでいた歌い方だった斎藤壮馬くんが、完全に歌詞をモノにして遊ぶように歌っていたところでした。歌詞にあわせた手振りや表情をつけたり、歌い方を変えてみたり。叩き出す正解が常に100点満点!っていう天性のパフォーマーって感じ。そういう表情が見られたのも、楽曲の良さのなせるところなのかなと思います。

SOARAについては、申し訳ないことにこの日ほぼ初めて聴いた楽曲が多かったのですが、SOARAもまた、楽曲が持つ青春のイメージを、豊永さんと小野さんのおどけたパフォーマンスが体現していてよかったです。途中から歌に加わってくる沢城くん、古川くん、村田さんと5人でステージのあっちこっちわちゃわちゃするのもまた男子高校生っぽくて。古川くんは歌うことが大好き!というのが全身からにじみ出ているようで、歌に夢中になりすぎて、みんなで肩組もうとしてるのにひとりだけそれに気づかなくて豊永さんに「おーい」って呼ばれてたところがかわいかったです。


ALIVE side.S(SOARA) vol.4収録楽曲クロスフェード試聴

 

ツキプロライブを見ていると、クオリティの高い楽曲と、歌に真剣に向き合う声優の姿があると、それだけで声優のパーソナリティとキャラクターの個性が溶け合って素晴らしい2.5次元イベントになるんだということを感じました。今後はさらに大きな会場でのライブになるのでしょうか。この先も進化をし続けて、新しい2次元アイドルコンテンツのライブのあり方を見せて欲しいなと思っています。




って冷静なふりして書いてみたけど読み直してみるとやっぱただただツキプロ大好き!!!な内容でしかなかった!ごめん!じょん最高!ありがとうじょん!!!