パノラマロジック

オタク怪文書

『龍宮城 WINTER TOUR 2023 -SHORYU-』東京公演の感想

ネタバレ含むので昼夜まとめてブログに書きます。

 

まず開演までのBGMの選曲が謎すぎる。椎名林檎小田和正、MC TYSONにLiSA。何か事前に言及あったらしいけどそこまで追えてはいないので謎だった。最後に篠原涼子の「愛しさと切なさと心強さと」がかかったのは、SHORYUでモチーフにされたストリートファイター2繋がりかな…映画のタイアップだったんだよね。30代以降じゃないとわからん繋がり。

女王蜂の「火炎」カバーでスタート。SHORYUの衣装。「火炎」大好き。女王蜂の曲ってダンスビートとかヒップホップに近接したものが多いのでボーイズグループがダンスしながら歌うのもめっちゃかっこいい。(女王蜂の曲ってアイドルに似合わなくね?という意見を見たことがあるので声を大にしていいたい)アヴちゃんがアイドルをプロデュースするのも必然だったのかもなと思った。

MCは担当が毎回決まってるよう。トークテーマも日常の話題じゃなくて、「ドラマと舞台を経て感じていること」とストイックな内容だった。そういえば龍宮城さんはファンサもしない。アイドルのライブでよくあるだらだら喋りとファンサがない龍宮城さんのライブである。

春空くんが、「声が低いので棒読みに聞こえてしまいがちだったが、感情を声にのせることを学んだ…」と話していた。利き手じゃないほうを使ってみたり、自分の歩幅を認識してみたりと、自分と向き合う時間だった、みたいな話をしていて真面目だ…と思った。

「SENSUAL」は昼夜でペアが違って、昼はRayさんと春空くん、夜はイタルさんと冨田くん。SENSUALと「二人組」が嫌いなアイドルオタクいるか???と主語デカなこと言いたくなるほどに「SENSUAL」は素晴らしい。ジャニオタには「シンメには必ずこの曲を歌ってほしい」みたいな曲があると思うのだが(「欲望のレイン」とか)、そういう呪いめいた力がある曲だと思う。それをペアを組み替えて披露させる龍宮城の運営、つまりアヴちゃんなのかな、天才。腕を引き合うダンスに、2人の息の合わせ方が現れる気がする。冨田くんとイタルさんのペアは身長差がよかったです。年長でオリジナルver. やってる至さんがリードしている感じがした。

中盤は7人が1人ずつソロでカバー曲を披露。曲数少ないうちにある楽しいコーナーだけど、スタダってカバーめっちゃさせる気がする。(ももクロの「Believe」とか人気すぎてもはやオリジナルみたいな扱いだったよね)

このカバー、誰が選んだんだろ? 選曲がすごく面白かったしところどころ本人の見え方とリンクしていた気がした。

KENTさんはご本人が好きであろうSUPER BEAVERの「突破口」。(バズライブの時に2ショ撮ってた気がする、違ったらごめん)かっこよかった。KENTさんてかわいい雰囲気と裏腹にパフォーマンスが荒々しくてかっこいいんだけど、こういうところから影響を受けてるのだろうね。

Rayさんは昼が「ステップアップLOVE」。大好きな曲だったのでイントロでわかってブチ上がった。Rayさんの良さが生きる名曲。夜は櫻坂46の「角を曲がる」で、"みんなが期待する人になれなくてごめんなさい"と、0年0組の番組の中で優等生と印象づけられたRayさんが歌うと重たいわね…と思った。

イタルさんの歌唱は本当に素晴らしかった。しかも選曲が、あいみょん菅田将暉の「キスだけで」ですよ。菅田将暉が女性視点の歌詞を、あいみょんが男性視点の歌詞を歌う曲で、男性的でも女性的でもあるしどちらでもないようなイタルさんにぴったりだなと思った。歌詞が生々しいところもイタルさんの歌声のあたたかみとマッチしていてよすぎた。


www.youtube.com

冨田くんは「新宝島」。コケたり、客席にわー!て手を振ったり、陽のアイドル全開でよかった。一瞬真顔になるところもあってそこが龍宮城さんらしい。

春空くんはフラカンの「深夜高速」で、彼の声の持つまっすぐな感じにとてもよくあってた。

SくんはBAD HOPの「Asian doll」。いや謎選曲!Sくんと言えば「ギザギザハートの子守歌」が印象的だったので、昭和のヤンチャボーイの曲を歌ったから平成ヤンチャボーイの曲も歌ってみようか、みたいな感じなのだろうか。シャネルにルブタンを女のために買う、ラッパーのフレックスな感じをアイドルが歌うの面白いな…と思った。アイドルは絶対に女にルブタンやシャネル買うとか公言しないじゃないですか(買ってるだろうけどさ)

一番面白かったのがKEIGOくん。昼公演がラルクの「HONEY」。それがあまりにもうまくてよかったので夜公演も期待してたら、夜はまさかのKOHH「ロープ」でした。


www.youtube.com

KEIGOくんの「HONEY」、HYDEさんの粘度の高い歌唱法を割とコピーしていて、ラルクが好きな方なのかしら…と思ったんですよね。で、夜公演のKOHHを歌う時にもその粘度が生きてて、それがめちゃめちゃよかった。KOHH好きな人からしたらアレかもしれないけど、この曲ってこんなふうになるんだ!って驚きがあった。

KOHHのラップって結構独特で、普通にカバーしたら微妙な感じになりかねないのではと思ったんですけど、曲が持つダークネスと「HONEY」を引きずった湿度の高いパフォーマンスがマッチしてて。大げさにいうとKEIGOくんの身体を通してHYDEKOHHが近接していたような気がしました。

アイドルのラップと言えば言葉をつめてリズムよく歌う的なやつ、というイメージがある。ラップをただの歌唱法としてとらえた時、確かにそういうほうが「なんかかっこいい!」って多くの人が思うだろうから、無理ないのかも…と思ってたんだけど、KEIGOくんがやってみせたKOHHのカバーみたいなラップ、エモで粘着質だけど言葉が詰まってないラップは、もっとアイドルがやっても面白いんじゃないのかなと思った。アイドルのラップの魅力はもうちょっと幅があってもいいなと思うんですよね。

最後はバイオレンス、Mr.FORTUNEなど定番曲をたたみかけて終了。

春空くんが途中でいなくなって次の曲の途中で戻ってくるというハプニングがあったけど、イタルさんをロックオンしてたせいで戻ってきたときにようやく「あ、春空くんいなかったんだ!」と気づきました…。

たぶん「バイオレンス」の「高まりにだって終わりはくるとか怠い」のところだったと思うけどKENTさんが「だりぃ」を低い声で吐き捨てるように歌っててめちゃくちゃかっこよかった。(ぜんぜん違うパートだったらごめん、でもどっかですごい低い声出してた)KENTさんてダンスのさなかに楽しいのかちょっと笑顔になるし、パートすべてをキリングパートにしちゃうしステージで生きる人なんだよなあとしみじみ思った。

イタルさんはほんとダンスも安定感あるし歌はうまいし、がなる時の爆発力もすごいし「龍宮城の壱」さん…!って感じだった。イタルさん、時代が違ったらきっとぜんぜん違う役割でステージに立っていたかもしれないし、下手したらサッカー選手になっていたかもしれないのに、彼の不思議な存在感がアイドルとしてステージに立ってるの、時代の偶然を感じて好き。

アンコールなしでさくっと終わるのも素晴らしかったのでまたたぶん龍宮城さんのライブ行くわ…と思いました。