パノラマロジック

オタク怪文書

多くの物語を引き連れてOLDCODEXが行くーTour ONE PLEDGES感想

OLDCODEXのライブは、闘争だ。ステージという、彼らをバンドたらしめる小さな居場所を守るための闘争。どうあがいても、声優の、二足目のわらじとしてバンド活動という見方がつきまとう。楽器を演奏する人もいない。バンドのバンドたる証明がどこかで決定的に欠けていると見られがちだ。そうやって遠慮無く向けられる視線に対して、狂気じみた実直さをもって全身全霊でパフォーマンスし、精一杯にそのステージを踏みしめて立ってるのがOLDCODEXだ。

いつ失ってもおかしくない危うい場所で、積載量ギリギリの熱量を保ったままで走り抜ける、どこか刹那的なところがあるからこそ私はOLDCODEXに惹かれていた。

(と、ツアー初日の感想ブログに書いた)

OLDCODEX Tour 2015 ONE PLEDGES初日の感想 - パノラマロジック

今回のツアーで、OLDCODEXは自身で初めて20本の大台に乗ったツアーを経験した。兼業ではない一般的なバンドと遜色のない期間、密度でライブの本数を重ねた。私はこのツアーの終盤、松山公演とお台場2公演を見たが、どの回でもTa_2さんはそのOLDCODEXとして初のライブ本数の多さに触れており、その口ぶりから誇らしさや自信がみなぎっていた。そして、未踏の本数を重ねても、OLDCODEXのパフォーマンスは衰えることなく、むしろより鋭さを増していた。

声優が声優業と並行してステージに立って歌ったり、時にはダンスしたりという光景は当たり前のものになっている。しかし、そうしたパフォーマンスを一定のレベルまで高めることと声優業とを並行して続けるには、目が眩むほどうず高く努力を積み重ねていかなければならない。OLDCODEXのライブは、そんな視点から見た時「声優がやってるバンド」としては高いレベルで楽曲やライブパフォーマンスを成立させていると思う。

しかし、そのような見方を果たして彼らが望んでいるのだろうか?とも同時に思う。兼業の身としての評価に甘んじていたとすれば、こんな密度の20公演のツアーなんてそもそも組んでなかっただろう。あくまでもバンドとしては、掃いて捨てるほどの専業ロックバンドがひしめく「音楽シーン」と呼ばれる大海に乗り出しても、遜色ない存在でありたいのだろうと察する。

それは、去年のツアー最終日のMCTa_2さんが言った「日本一中途半端なボーカリストになろうと思った」という言葉にも現れていたと、私は思う。兼業を兼業として割り切るのであれば、自身を表して「中途半端」なんて言葉は飛び出して来ないんじゃないだろうか。声優としてもバンドのボーカリストとしても途切れなく活動できることは素晴らしいことなんじゃないのか。多分、それは彼なりの逆ギレめいた姿勢も含んだ力強い言葉だった。

「中途半端」だから、彼らは必死にしがみつくのだ。バンドをバンドたらしめてくれるそのステージに。

 

そんなことを考えながら私は各地でONE PLEDGESの公演を見ていた。豊洲、札幌、松山、お台場、4箇所5公演を見たのだが、昨年のツアーが毎回初日のような初々しさがあったことと比較すると、今年は密度の濃いツアーだったせいか、ラスト3公演はバンドとして熟れてきた印象を受けた。いよいよ兼業だとか何だとかそういう印象を感じさせないバンドへ近づいている、と感じた。

 

そしてツアーファイナルがやってきた。

私は、この「近付いている」という感覚がやっぱりどこかでOLDCODEXというバンドのあり方に疑問を持っていたことの現れなんだと気付かされた。やっぱり、広い世界の中でOLDCODEXはどこかが欠けた存在だと、どこかで思っていたのだ。でも、そうじゃなかった。

お台場の2公演で改めて発見したのは、Ta_2さんのボーカリストとしての表現力の深さだ。ラウドな曲で咆えるようにシャウトしたかと思えば突然、背筋がぞくりとするほどのウィスパーボイスを挟む。Physicalで爆発的にがなりたてていた同じ声が、seequretでは掠れた声で静謐さを歌いあげる。その振れ幅には恐れ入るものがある。

本人も折に触れて「片方の活動で経験したことを片方に活かせる」と言っていたが、そのひとつがこの表現力にあるのではないだろうか。彼は紛れもなく、声優として経験を積んできたボーカリストなのだということに気付かされる。

そして、Lantanaがお台場の2公演で初めて披露された。この曲について、Ta_2さんが語るエピソードがとても印象的だった。最終回を迎えた「黒子のバスケ」の、最後のEDテーマとしてリリースされたこの曲は、黒バスの作者の藤巻先生にも気に入っていただいたようで、この曲がラストのEDテーマとなって良かったと先生本人からTa_2さんに聞かされたようだ。そのことを、大事な宝物を見せるようにうれしさを噛み締めて話すTa_2さんがいた。

このお台場の一日目に話されたエピソードにもこみあげてくるものがあったが、2日目のエピソードはそれを超えていた。

Lantanaを歌う時に、Ta_2さんは脱退してしまったメンバーのRONさんの歌い方を思い出して歌っていたと言う。脱退しても、RONさんがいた時代の音はまだ染み付いていて、そうした過去も今もすべて引き連れて進んでいくのがOLDCODEXなんだ、という趣旨の発言だったと記憶している。

私はRONさんがいた時代のOLDCODEXとはリアルタイムで立ちあっていない。しかし、その楽曲の数々をもうOLDCODEXの新曲として聴くことは出来ないということに、取り戻せない時間を思って胸が苦しくなるほどには彼の楽曲が好きだった。彼が脱退するときに、特にバンドから詳細な説明もなく、きちんとしたラストライブもなかったと聞いていたが、 まさかここに来てTa_2さんの口からR・O・Nさんの話が出ることにただただ呆然としていた。

今まで口にしなかったのは、なかったことにしたかったからじゃないのだ。こんなに時間がかかるくらい、失ったものが大きかったのかもしれない。でも、失われた時間も、何もかも引き連れてバンドは進んでいく。それは黒子のバスケという大きな作品がさまざまな熱狂を飲み込んで終わっていくその姿とオーバーラップした。

たかがアニメタイアップかもしれない。けれど、OLDCODEXにとって黒子のバスケは、鈴木達央が演じたキャラクターが生きていたアニメであり、作品を提供してきたアニメでもある。曲自体が持つ物語が、関わったアニメの物語とオーバーラップして胸に迫ってくる。こんなに稀有な体験は、OLDCODEXでこそ味わえるものだと思った。

だから、その時に私はOLDCODEXがバンドでありつづけることの意味をやっと理解したように思う。それだけの物語を背負えるのは、フロントマンが声優として物語をつくることに携わっていなければできないことだと思うのだ。「中途半端」だとTa_2さんは言ったが、それでいい。むしろそれは誇るべき「中途半端」だったのだ。本人がそれを意図しているかどうかは置いておいて。

この日のライブでは、2回目の武道館公演が発表された。初めての武道館に立った日、「武道館、こんなもんかって思った」とこともなげに言ってたTa_2さんがいたが、あれは意識しすぎたために意識してないような発言が飛び出していたのではないかと邪推する。私はあの武道館公演を見て、やっぱり消化不良を感じていた。だからYORKE.さんが「あのときCaptureしきれてなかったかもしれないから、今度はきっちりCaptureしてみせる」という内容の発言をした時には笑ってしまった。そんなこと言われたら楽しみにするしかないから。

 

そうやって過去を引き連れて前進していくバンドの姿を今後も出来る限りは追いかけていきたい。なので武道館、大いに期待して待ってます。

梅原裕一郎さんのことをイケメンて言うのをやめようと思ったミリオンドール第0回ファンミ

ミリオンドール第0回ファンミーティングに、昼夜とも参加しました。

 

ミリオンドールといえば、女性アイドルの、しかもかなり規模感が小さい限定された世界のオタクの姿をリアルに描いた異色の漫画。周囲に女性アイドルのオタクが多いので、以前から話題だったこともありアニメ化の前から原作は読んでました。

私はこの作品のリュウサンというアイドルオタク役を梅原さんがやることに、お腹が痛くなるような不安と、残酷ショーを望むドス黒い楽しみがないまぜになって複雑な気持ちでした。

「汚いMIX」「強いオタク」「ガチ恋」とか、アイドルオタクの薄汚い自意識が垣間見えるジャーゴンまみれのキャラクターを、アイドルオタクの世界から遠すぎる梅原さんが演じることの、ミスマッチ。あれほどズバ抜けた顔面を持って生まれ、趣味はクラシック鑑賞で、スタッフが仕掛けたドッキリもすぐ見抜く頭の回転の良さがあり、他人に興味がない(本人談)梅原さんて、アイドルオタクのような人種とはかけ離れている気がするのです。誰かに強い興味を持って、無駄に思われることに最上級の価値を見出して自転車に乗った人間をリフトしたり、「おいしい」とか「強い」とかそういう実体を伴わない評価の世界の中心にいるような、いわば「しょーもない」人をやるのか、と……。

 

何が一番嫌かって、梅原さんが「汚いMIX」を作中で打つことでした。

vine.co

(参考に使ってすみません)

だって汚いから……と言うのは冗談としても、あまりに今まで演じてきたキャラクターにはなかった演技をするということで、その演技に梅原さんの声優としてのほつれを感じてしまうのではないかという不安のほうが少し大きかったのです。

 

ということで、戦々恐々としながら科学技術館に向かいました。お客さんは男性ばかりで、急な発表だったとは言え、もう少しいるのかな?と思っていただけに、梅原さんの人気の実態がよくわからなくなった瞬間でした。

前置きが長くなりましたが、イベント本編の感想を。ミリオンドールのファンミで見た梅原さんは、いい意味で隙がなかったです。

例えば、昼の部の「キャストのみなさんが好きなアイドルは?」という質問に、女性声優のみなさんが口々に自分の他の出演作品でのアイドルを匂わせる発言をしていった時のこと。梅原さんに話が振られた時、客席から「315ー!?」と声があがり、まさにその方向の発言をするのかなと思いきや「僕が好きなアイドルはマリコです」と回答。作品から脱線していく空気を修正し、なおかつその場の多くの男性オタクが心置きなく歓声を上げられる選択をとったことがかっこ良かった。

さらに、大喜利マリコ役の伊藤未来さんと決選投票になった梅原さん。拍手の大きさで勝敗が決まるのですが、梅原さんのほうが少しだけ大きく、優勝は梅原さんか……と思われた時に梅原さんが「俺はマリコのオタクなので、それはマリコに」と。優勝を伊藤さんに譲ってあげていたのでした。

そうやってあまりに隙のないイケメンぶりをイベント中に披露していただけに隣の渡部優衣さんに何度か「おいイケメン!」「イケメンずりーぞ!」ってイケメンいじりされてました。まさか女性からイケメンいじりされるとはすごいな。

男性声優が多く集まる現場での梅原さんは、空気をあえて壊したりずらしたりする印象があったので、これほどまで頼れる男ぶりを発揮する梅原さんが逆に新鮮でした。

そして、びっくりしたのが夜の部で言っていた、アフレコにオタクによるMIXの監修が入っていた話。

梅原さん曰く「アフレコの時に、後ろでここにいるみなさんのようなプロのオタクの方が僕の演技を見て指導してくれました。そのジャージャーは違いますね、とか」(発言はニュアンス)と。

もう、これ聞いた瞬間に爆笑してしまいました。MIXを監修するんだって。イケメン声優にMIXを監修するオタクの存在を想像したら笑えて仕方なかった。梅原さんは家でもMIXの練習をしていたそうです。イケメン声優がMIXの練習を……家で……!!!!

って考えてたんですけど、後から冷静になって考えれば考えるほど当たり前のことで、笑えなくなってきました。だって知らないことを仕事としてやるんだから家でさんざん練習するのは当たり前だろうし。むしろ、監修をきちんとつけるアニメ制作側のプロ意識を感じてすごいなと思うようになりました。

思えば、既定路線のイケメンキャラじゃない役を演じるのは役者としても挑戦で、練習の中で梅原さんは真摯にリュウサンと向き合ってるのだろうと思います。ならばその梅原さんがつくりだす「汚いMIX」に私も真摯に向き合わなくてはならないな、と思いました。

振り返れば、梅原さんの顔面がキャッチーすぎるため、梅原さんが何をやるにつけてもどこかで「あの顔面なのに」「あの顔面だから」と考えていたように思います。だけど、そうやって考えてたら、「汚いMIX」を仕事として真面目にやってるっていう、そんな当たり前のことすら見えなくなってたわけです。

だから、なんかもう梅原さんのこと安易にイケメンとして認識するのやめよう……、と思ったのです。別に蔑みを持ってそう呼んでたわけではなく、ただただキャッチーで便利な呼び方だから使ってただけだし、むしろ好意的にそう呼んでたくらいでした。

しかし、時として顔面でいじられてしまう梅原さんにとっては「イケメン」という言葉はネガティブな意味になる時もあるのだろうなと。自覚してはいたけど、この日ほど、梅原さんの顔に自分の認識が撹乱されてるなあと思ったことはありませんでした。

しかしながら、彼からイケメンというキャッチーなラベルをとって見ていくこともそれなりに大変そうで、男性声優という顔が重要視されない(はずの)世界に突然変異的な見目の麗しさをもって出てきた彼を取り巻く言説にはさまざまな語るべき余地がありそうで、表層こそが彼にとっては類まれな武器なのは確かだし空虚な表層にこそ本質が宿るというスーパーフラット的な解釈からすれば彼こそが演技という本質が求められがちな世界に生まれ落ちたニューエイジかもしれない。ってスーパーフラットのことはよく知らないので適当なこと書いた。

とにかく、外見が先行しがちな梅原さんですが、その仕事に対する姿勢や真摯さはそれに撹乱されずに見られるべき人なんだよなあと実感したのでした。この日の梅原さん、本当にかっこよかったです。

 

なお、「薄汚い自意識」とか散々書いてしまいましたが、女性アイドルの現場のオタクの空気感は好きなほうですし、ミリオンドールという作品はとっても大好きなのでアニメ化楽しみです。

梅原さんがリュウサンをやるにあたり、ぜひアニメで実現して欲しいのは、リュウサンが「俺もうオタク辞めるわ…」と傷心旅行に出た第59話のシーン。

オタクたちと傷心ドライブ中に、BGMでT.M.Revolutionの「魔弾」がかかった瞬間、オタクスイッチが入ったリュウサンが魔弾でMIXを打ちだすのです。

www.youtube.com

「狭い世界で君しかいない 他の名前が出てこない」というサビの歌詞にあわせて、ガチ恋してるマリコの名前を呼ぶリュウサン。車中のおたく、いっせいに「さすがリュウサンっす」「こんなバカな芸思いつくのリュウサンだけっすよ」ってゲラゲラ笑います。

単純に考えたら本当にしょうもない場面。だけど、アイドルオタクには時にこういうしょうもない瞬間がめちゃくちゃ自分の気持ちをたかぶらせたりする大事な瞬間になることもあって、しょうもないなあ……と思いつつめっちゃ共感してしまう大好きなシーンです。

「狭い世界で君しかいない 他に名前が出てこない」って閉塞感とどうしようもなく冷静じゃない感じが本当にガチ恋ソングとして胸にしみます。

もしかすると多くの「ガチ恋」を集めているんじゃないかと思われる梅原さんがこの曲でMIXを打つ日が来たらと思うと楽しみでなりません。

美男高校地球防衛部が箱推しせざるをえなかったLOVE!LIVE!感想

美男高校地球防衛部LOVE!LIVE!」に行ってきました。どんな内容だったかのレポはたくさんあるので感想だけ書いてみます。

 

見慣れたZepp Tokyoのステージに階段が出現し、1階と2階に分割されたセットになっているのを見て、ああ、やっぱり今日はアイドルのステージを見に来たんだな…とまざまざと実感して眩しく思った。

数は少ないけれど、これまでにうたプリ、μ's、アイマスと中の人がアイドルになって歌って踊るステージをいくつか見てきた。そのどれもが、アイドルであるキャラクターを演じて中の人がアイドルをやる、という大義名分があるから納得感あるけど、防衛部は結局、地球防衛部の高校生の役だからアイドルじゃないわけです。だから、あまりにアイドル然としたステージに笑ってしまった。

 

今日という日を迎えるまで、主演声優5人のニコ生「バトルナマァーズ」を1週間毎日見てきたくらいに、この日のためにテンションを高めてきたので、それが何かの拍子に裏切られる瞬間が来たらどうしようかという不安もありました。

そんな期待と不安がないまぜになった中で、暗転して1曲目の「絶対無敵☆Fallin' love」がスタート。

まずぱっと見て白井さんの動きがひとり大きくて、気合入ってるのを見て笑った。想像以上にキレキレ。

本来は声優さんてダンスする仕事じゃないから、別に声優さんの動きのキレがよかったとか悪かったとかいうのは不毛だし、元アイドルオタクのエゴみたいなもんだから本来はすべきではないんだろうな…と思う。(だいたいダンスのなんたるかをよく知らないし)だけどついつい言及しちゃうのは、スキルとか置いておいて、やっぱりそういうところにその人のその人であることの魅力を見てしまうから。

失礼を承知の上で書きますが、「白井さんは振付師さんから気持ち悪いって言われてた」という話が思い出され、振付師さんの言葉は大げさじゃなかったんだな…って思いました。下手とかじゃないんだ。動けるんだけど、動きが面白い。特にソロ曲の間奏で、バレエダンサーのようにすっとなめらかな動きでおしとやかにステップを踏む様が、やっぱりどうしても面白い。でも、その「下手なわけじゃないのに動くだけでなんか面白い」ってところに、機動力抜群に体を張って笑いをとりにいく白井さんのすごいところが詰まってるんだと思うのです。

増田さんは、やっぱり元ミュキャスだからなのもあるのか、とにかく煽りとか曲への入り込み方、見せ方が慣れてて、蔵王立の濃度120%て感じだった。原曲よりキーを下げてたんだけど、これもきっちり歌うための配慮と考えれば仕方ない。煽り方とかが、コンスタントに歌手活動をしている声優さんのそれに近くて、増田さんは安定感があった。

この日のトークで増田さんは「防衛部のメンバーに、衣装のままでご飯食べない!って怒ったことがある」とか言ってたけど、そういうエピソードから増田さんの生真面目さが伺えて、それがステージにも出るのかなと思った。ニコ生でもそうだけど、誰かがトークに困ったり進行に困ったりすると助け舟を出すのも増田さんだし。本人はニコ生で否定してたけど真面目ですよね。たまにマジレスしてて面白いけど。

和臣さんは、もう完全に有基くんでかわいかった。そして安定感。すぐセンターとか言うの良くないけど、背負っている色は赤だし、立ち位置はセンターだし、役柄で言えば座長だし、とても頼もしい。なのに、人一倍エモいようで最後の「Just going now!!!」を歌い終わって最後に「今日は泣かななかった!って言ったそばから泣いちゃいそうになってきた」みたいなことをおどけて言うのが本当に愛らしかった。あとウォンさんのぬいぐるみを抱えて歌う姿がたいへんキュートだった。

梅原さんはとかく突出した顔面で話題が先行しがちだけど、よくよく見てると「ちょっと今振り付け入ってなかったな…?」ってとこあったり、ひとりだけ客席への煽りができなくて、メンバーに「みんなそういうの(煽り)やるならリハの時やってよー…俺もやればよかった」ってぼやいたりして、妙に隙があるところが垣間見えて面白かった。

でも、だからといって梅原さんは不器用なわけではないと思う。隙をわざわざ取り出してはみたものの、ダンスが下手だということではない。煽らなくても客席へ必殺の投げキスとかしてて、いや本当に「必ず殺す」と書いて”必殺”の投げキスだったもので、やっぱりすごいなと思った。場面場面で梅原さんは隙があったりなかったりするので、本当にとらえどころがないなと思う。

そして西山さん。

西山さんの動作は、基本的に少女漫画から抜け出てきた架空の17才の少女のようにきゃぴきゃぴぶりぶりしてるんだけど、ダンスもかわいらしさを出しつつ動きにキレがあってエレガント。贔屓目入ってるとは思いますけど、西山さんも大好きだという藤井隆感あった。

藤井隆さんのステージを短い時間とはいえこれまで2回見たことがあったんだけど、身体中にみなぎるステージ人間としての気迫を感じさせる人だったのを覚えている。圧倒されるくらいの。西山さんにもちょっとだけそれを感じた。

私の中で西山さんはハロプロに憧れて地下アイドル活動を始め、先ごろ有名事務所が手がける話題のアイドルグループにオーディンションで合格した17才の女の子という設定があり、そんな子が満員のZepp Tokyoの2階ステージのど真ん中で歌う姿は「よかったね…よかったね…!」という涙を禁じえないものだった。西山さん、どんどん売れていくね…!これから…!

 

妄言はさておいて、この日一番胸を打ったのは、防衛部の予想以上のエモさでした。

ラストのほうで「防衛部としての今後の抱負なんかを一言ずつ言いましょう」と、和臣さんが振った時、西山さんは「全国を周りたい」梅原さんは「みんなで旅行したい」、白井さんは「2期」という話をしていたんだけど、増田さんと和臣さんの話が結構びっくりした。

増田さん「仕事として言うもんじゃないけど、ダラダラこの防衛部を続けていきたいよね」

和臣さん「一生防衛部やってたい、また歌える機会があったらいいな」

普通に考えたら防衛部もたくさんある仕事の中のひとつ。顔出しの仕事が多くあって一緒にいる時間は長かったとしても、数ある作品の共演者でしかない5人なわけです。でも、こっちが思ってる以上に、彼ら自身から「5人でいることを続けたい」って言葉が出てきたら、いくらなんでも、感動しちゃうじゃん!!!彼らはこの作品にずっと留まっていることはないんだろうけど、だからこそ「ダラダラ続けたい」という言葉が重い。

リップサービスだったりもするだろうし、5人全員がそんなことを考えてなかったとしても、やっぱりエモいなあと思ったのはアンコールの後のJust going now!!終わった後に誰も締めの挨拶に入らないでちょっと沈黙していたところ。本来は和臣さんあたりがしゃべり出すはずの場で、誰も助け舟を出さないでちょっと時間が止まったように見えたのは、気のせいかもしれないけど、みんな感極まってたのかな?と。(違ったらごめん)

歌もダンスも声優さんには本来求められてないはずの役割だし、そもそも防衛部はアイドルの役ではないにも関わらず、顔出しの仕事多数でニコ生でもバラエティ感を求められ、まあ本当によくできたいわゆる「アイドル売り」。アイドルのパロディみたいなものなんだけど、そうした活動を通してグループとしての自意識みたいなのを身につけてしまったことが、愛しくもあり、悲しいことでもあるなと思った。見てる側としては、5人でいることを期待してしまう。でも実際、ただの共演でしかないわけで。

清々しくキャラを反映させた王道なアニソンだらけの防衛部の曲たちの中で、ひときわ異質なド直球の青春ソングJust going now!!!の歌詞がこんなところで思い出される。

 

まだ今も醒めない青い春をただ駆け抜けたいから

 

なんで防衛部の曲に、こんなに恥ずかしいくらいの歌詞があるんだろうと思ってたけど、笑っちゃうんだけどライブの予想以上のエモさを見てしまうと、こんなにハマる歌詞はないよなあって思ってしまう。いつ終わるかわからない作品の中での結束を、続けていきたいよねっていう姿と重ねてしまう。

そもそも「美男高校地球防衛部」ってアニメ自体が盛大な「なーんちゃって」の集まりで、他作品のパロディとお約束とメタ視点の集積で作られていて、どこにもその本質なんてないのかもしれない。でも、そんな中で不意打ちに、人間くさいエモいことを言われると、心がきゅっと絞めつけられてしまう。

 

そして、また、防衛部関連商品にお金を落としてしまう……本当によくできてる……。

OLDCODEX Tour 2015 ONE PLEDGES初日の感想

3月のFree!イベントで達央さんが、宮野真守さんに対して「このバラエティ狂いが!」と突っ込んだことがあった。何気ない言葉だったけどそれは的を得ている気がする。宮野真守には、執拗なまでに人を楽しませようとする執念があり、それがイベントやラジオでの振る舞いから窺える。それは、きっと宮野真守のコンサートがネタバレ禁止なことにも現れていると思う。来た人を万全の状態で楽しませるため、お客さんにすら協力を願うのだ。それほど宮野さんの人を楽しませることへの責任感は重いのだと思う。

そして、そんな宮野真守を「バラエティ狂い」だと評した鈴木達央という人はその真逆に位置するタイプだな、とライブを見ていて思った。OLDCODEXのライブで、Ta_2さんは客席に向かってよく「お前らはほんと何でも楽しむ天才だな!」と言う。先日の豊洲でのツアー初日でも言っていた。

客席の楽しさはステージにいる自分が提供しているものではなく、自分が提供する音にあわせて楽しさを見出すのはあくまでもオーディエンス側であるということだ。客席とステージが一体となって盛り上がる場面で放たれるこの言葉は、客席を煽りつつも、少しだけオーディエンスから距離をとっているようにも聞こえた。

 

ONE PLEDGESツアーが始まった。

 

昨年のアルバム「A Silent, within The Roar」から今回のツアーのセットリストに引き継がれた曲はRage Onを入れると2曲のみ(※4/30のセットリストに限っては)。それ以前の曲を多く盛り込み、違和感のない流れで最新の曲が繰り出されるという、前年のツアーとはあきらかにモードが違うことを見せつけたライブだった。

A Silent, within The Roar」というアルバムとツアーは、今にして思えばわかりやすくてキャッチーなものを目指していたような気がする。アルバムはどの曲も味がはっきりしていて、それぞれの役割が明確だった。その中で一際明るくて、一体感のあるコールアンドレスポンスができるLandscapeが本編のラストに演奏されていたことからも、ツアーの色が窺えると思う。

対して、ミニアルバム「pledge」を引っ提げたツアーONE PLEDGES はどうだったかというと、豊洲PITで見た限りでは、昨年のツアーで感じたキャッチーさから遠ざかろうとしている印象を受けた。

直近のタイアップヒット曲であるDried Up Youthful FameWALKがなく、ここ最近のライブで、頻繁に演奏された印象のflag on the hillもない。その代わり、birdsやAchromatic habitなど「A Silent, within The Roar」以前の名曲を盛りこんでいた。そして、色褪せない鮮烈な過去の曲達と並び、最新アルバムのLost beforeseequretがまったく遜色なく、地続きに聴こえてくるのは嬉しい発見だった。昨年のツアーでファンから「OCDは変わってしまった」と言われることをTa_2さんはMCとwired choirという曲で否定してきたが、もうわざわざ口に出さなくても、バンドに流れている血はやはり同じなのかもしれないと思わせてくれる。そして、こうしたバンドの原風景に迫る曲は、完璧な一体感を産むようなものというより、内省的で、メランコリックな憂いを帯びたステージを見せてくれる。

また、OCDはなんだか「お約束」みたいなものを嫌う性格なのではないだろうかと思えてきた。「pledge」のリード曲のEyes in chaseでさえ、サビでTa_2の歌の後に演奏のみが流れる余白が出来ていたり、アウトロがシャウトで突然終わる。DUYFでも感じたことだが、聴いている人の意表を突くための、かすかな違和感をつくることを意図して作られている印象を受けるし、「pledge」のその他の曲も一聴しただけではわかりにくい構成になっている。

こうしたOCDの天邪鬼な性質は、彼らの魅力だと思う。サビをキャッチーにしても、全体としてはキャッチーを目指さない。けれども、こうした「キャッチー」でありつつ「キャッチー」から遠ざかろうとする姿勢は時としてマイナスにもなり兼ねないのではないだろうか。

彼らはLantisに所属している以上、「キャッチーさ」を求められる存在だと思う。もちろんOCDがアニメタイアップとして制作してきた曲達はどれもアニソンとして機能的でキャッチーだった。けれども、バンドを支える根幹の姿勢がキャッチーさと無縁であるならば、このレーベルという圧倒的なホームの場もといアニソンシーンが、バンドとしては逆にアウェーにもなりえるのだろうなと思うのだ。単純に楽曲としてではなく、バンドの姿勢として、知らない人でも立ち止まりやすい引きを持ってたり、間口を広く構えて、おもてなしするような精神が求められる時があるのではないかと思う。

そんなことをランティス祭りの台湾公演LVを見ながら感じていた。昨年の国内のランティス祭りが終わった後もそうだったけれど、ランティス祭りの海外公演を終えてやたら「やっぱりワンマンはいいなあ」としみじみMCで話すTa_2さんがいたのは印象的だ。海外旅行から帰ってきてやっぱり家が一番落ち着くなあっていう。海外旅行ならわかる。でもバンド活動において、時には外の世界でお客さんを獲得してくることも必要なのではないのだろうか…安心してちゃいけないのではないだろうか…と余計な心配をしてしまう。

 

ライブ終盤は、定番となったRage onKick outから怒涛の勢いでreelの凶悪なイントロへ向かう。と、思ったらなんとなくかわいげのあるサビとCメロ(?)で肩透かしを食らう。そういう裏切り感がOCDっぽいなと思う。

そして、Bitter Aspirationへ畳み掛ける。「pledge」や直近のシングル収録曲でも顕著だったヘヴィな重低音が影を潜め、とりわけシンプルな印象のなこの曲がまさか本編の終盤で演奏されるとは思っていなかったので衝撃だった。LandscapeKick outなどのライブ仕様の曲が演奏された後でこの曲を聴くと、ひたすらにメロディと歌詞の切なさが胸を打つ。

そして、ラストはEyes in chase。咆哮とスレスレの鬼気迫るボーカルを、一身にマイクに込めてTa_2さんは歌う。

バンドの行く末はわからない。武道館をやったバンドにだって、一寸先にに仄暗い落とし穴が待っている可能性だってある。もしかしたらOCDにとっての居場所はアニソンシーンでも、その向こう側でもなく、このステージにしかないかもしれない。けれども、踏みしめたその場所を誇示するようにTa_2さんは歌っていた。

中途半端だと揶揄されることを気にして「日本一中途半端なボーカリストになってやるよ」と胸を張って主張していたこともあった。その言い草は子供の逆ギレみたいにも見えたが、それでも、豊洲PITのステージという限りある場所に立って歌うTa_2さんの存在は強く、尊くて、唯一無二だと思った。もしも、誰かから取り上げられようとも、彼が立つその場所は必死で守るに値する、価値ある場所だ。だから誰もこの人の姿を咎めることはできないと思った。

Eyes in chaseを歌い終えたTa_2さんが客席を見渡す時の、満足げな表情が、この会場で一番楽しんでいるのは彼だということを物語っていた。もしかして彼はオーディエンスを「楽しませる」という意識はそこまでないのかもしれない。けれど、肉体から放たれる強烈な歌声の生身の魅力は、何度パフォーマンスを見ても飽き足りないとさえ思う。一回性のきらめきを持った素晴らしいエンターテイメントだ。

 

ということで残りの札幌と松山、あと追加のお台場楽しみにしてます。

 

pledge(DVD付)

pledge(DVD付)

 

 

昨年のツアー初日感想をロキノン調で書いていたので、今年もそれを目指してみたのですが、なんだか中途半端に終わってしまいました。

BL福袋交換会をやってみた

福袋と言えば年明けですが、もう5ヶ月も経ったこの爽やかな初夏に、あろうことか福袋を買いました。買った、というか交換した。BL福袋です。

 

本当は1月頃にやろうとしてたものでした。

 

 

BL福袋とは、決められた予算の中で各々が自分が好きでおすすめしたいBL、または未読だけど面白そうなBLを買ってきて、タイトルを明かさないまま持ち寄って、それを交換するというもの。

 今回は私ともうひとりの方と一対一の交換になりました。1500円前後という予算で、それぞれBLを購入することに。これ、選ぶのめっちゃ楽しかったです。

 おすすめしたいなと思ったものは、その発売週にレビューサイトのランキングに入っていたような話題作ばかりで、これも読んでそうだし、あれも読んでそう…と思うとなかなか決められませんでした。そこで、最近の作品を避けて、過去のお気に入り作品を買うことにしたのです。

私が買ったのはこちらの2冊。

 

オルタナ (ミリオンコミックス 10 Hertz Series 49)

オルタナ (ミリオンコミックス 10 Hertz Series 49)

 

08年…ということは7年も前だったのか!ってびっくりした古街キッカ先生の「オルタナ」。好きな人が別の誰かを好きだから、好きな人の好きな人と関係を結ぶ。変形三角関係の話です。変形三角関係大好きなのはこの作品のせいだし、今読み返してもテンポとか台詞とか大好きすぎて全然色あせてない名作。

僧職高校男子寮 (バーズコミックス ルチルコレクション)

僧職高校男子寮 (バーズコミックス ルチルコレクション)

 

 こっちは、個人的このBLがすごい2014で2位にしたやつ。持っている確率はちょっと少ないのでは…と思って買っていきました。

 

お渡ししてみた結果。

オルタナ」のほうは相手の方も持っていました。

……福袋になってない!かぶりを避けるためにあえて古い作品を出してきたのに、逆にかぶったというまさかの事態でした。でも、逆に、こんな古い作品に「私もこれ好きだったんですよ〜」って言ってもらえたからなんだか運命を感じてしまいました…。

私のほうがもらったのはこちらの3冊。

 

火傷と爪痕 (ディアプラス・コミックス)

火傷と爪痕 (ディアプラス・コミックス)

 

 

 

お久しぶりです、ダメな人(BABYコミックス)(POE BACKS)

お久しぶりです、ダメな人(BABYコミックス)(POE BACKS)

 

 こういう交換の醍醐味は、普段手に取らないけど気になっている作家さんの漫画が手に入ることなんですけど、まさにそれ!っていうラインナップでした。私としては。

腰乃先生と雨隠ギド先生の作品は本当にいつも気になってるけど手にとれずじまいのものが多くてタイミングを逃してたので、読めてよかったです。

未知との遭遇』は、女性モノっぽい下着を履く変態的な趣味を持つ受キャラがいますが、決してそれだけで引っ張るイロモノではなくて、腰乃先生の描くわちゃわちゃ男子感ほんとに面白いし、BL展開も一進一退の攻防があって、力技でセックスに至らない印象があるのでよかったです。

『火傷と傷跡』は攻の長年の片思いに決着をつけようと奮闘する受の健気なところがいい。黒髪ツンデレなところも好きでした。

そして、店頭で目にかかったことはない見落としてた面白い漫画を教えてもらえるのもよかった。それが『お久しぶりです、ダメな人』でした。どうして、私がダメな大人×そんなダメな大人に振り回される健気な子供っていうカップリング好きなの知ってるんですか?って感じでした……。よかった……。

毎週金曜日にBLを衝動買いすることがストレスと戦う上での日課になっていて、最近そんな買い物に行き詰まりを感じていたのですが、「BL福袋」やってみると新たな扉が開かれるので本当に楽しかったです。

あと、他の人の好みが知れるのもよい。ああ、こういうのが好きなんですね…ってにやにやもできます。

またやりたい。

次は、複数人で持ち寄ってみるのもいいかもしれません。「これ持ってる」てのがあったらその場で交換したりして。

激動の2014年現場総まとめ

2014年ももうすぐ終わるので、毎年恒例の現場まとめを書いてみます。小さなリリースイベントでも1現場に数えてます。

◎2014年に行った現場総まとめ……66

現場の内訳は下記の通り。今年は、ジャニーズより地味に女性アイドル現場の方が多かった年でした。

【推し内訳】

OCDと鈴木達央……25
長谷川正さん……10
中島健人くん……6

【OCD】

アニメ紅白
AtAツアーお台場
AtAツアー 福岡
MM限定渋谷
SwtRツアー札幌
SwtRツアー福岡
SwtRツアー大阪
SwtRツアー名古屋
SwtRツアー熊谷
SwtRツアーお台場
SwtRツアー新木場
SwtRツアー大阪
MM限定お台場

Free!イベ昼
VitdminRイベ夜
Free!関西上陸
攻殻機動隊舞台挨拶川崎、六本木、新宿
鯖祭り
お前らのためだろ夜
幕末Rock雷舞昼

echoAX
echo静岡
echoTDC×2
そしパレ市川
そしパレ仙台
FC限定鶯谷
年末TDC

【女性アイドル】
リリスクリリイベ錦糸町
リリスククルージングパーティ
リリスクワンマン
ライムベリーリリイベ秋葉原
Mixed up
ライムベリーワンマン
サワーソニック
ベビメタ武道館
乃木坂神宮球場
音楽湯会
LinQ定期
異端児Fes

セクゾン】
銀の匙舞台挨拶お台場
名古屋×2
大阪×2
さいたま×1
ガムシャラ×2


【その他】
寺島拓篤ゼップ
モテ福祭り
ジャンフェス ハイキューステージ
魅惑ツアーズイベ
bulb心斎橋
bulb池袋
プラズ渋谷
KREVAの音楽劇
スリルミー
私が嫌いな女の名前〜

今年印象に残った現場

・6月  攻殻機動隊舞台挨拶
とにかく達央くんがイケメンだった。

・9月   おまえらのためだろ
とにかく達央くんの女装ぶりっ子がかわいすぎたし性的だった。

・10月  Plastic Tree FC限定ライブ
有村さんと長谷川さんがまさかのまどまぎコスプレ合わせをしてきた震え上がった夜。セトリも最高でした。

・10月  OCD@Zepp Namba
ツアー追加最終公演。「日本一中途半端なボーカリストになろうと思った」Ta_2くんに、近年どこの現場でもなかなか見れない尊いステージの上の存在を目の当たりにしてる感覚あって震えました、色々な意味で。

・音楽温泉  そらゆね
初めての大森靖子とゆるめるモ。大森靖子の狂気的なパフォーマンスを銭湯の宴会場で触れそうな至近距離で見るというすごい体験をした日だった。あとあのちゃんかわいい。かわいすぎる…。

・11月 Mixed Up
ライムベリーとリリスクが出るイベントライブだったのですが、R.O.Dでフロアを混沌にさせる中で雄々しく吼えるJKのミリちゃんヒメちゃんは、めっちゃかっこよかったし、その後に出てきたリリスクもリリスクらしいわちゃわちゃさは失わずとも巻き込まれるパワーがあったし、すごく楽しかった。

印象に残った現場の詳細書いてると、だいたい10月ですね。年末に思い出すと、そうなっちゃうのもあるけど、ほんとに10月は現場が集中してました。

来年の目標は、脱・現場瞬間主義です。マジで。


<後編>私ひとりで選ぶ「このBLがやばい2015」

選者:ななりだけで選ぶ、ひとり「このBLがやばい2015」。後編は3位からの発表です。(前編はこちら)

3位 相愛えろ期/彩景でりこ 

相愛えろ期 (ジュネットコミックス ピアスシリーズ)

相愛えろ期 (ジュネットコミックス ピアスシリーズ)

 

2014年に読んだBLの中で3本の指に入るインパクトといえばこれなんだけど、この作品を入れようとすると、もはや「このBLがやばい」ってそもそもどうやって選べばいいのかわからなくなってくるんですよ。なにせとにかくセックス、セックス、セックスにつぐセックス漫画。

もう、この作品に出てくる太郎と充という俺様×ツンデレメガネのカプリングのやることなすことすべて私の性癖ど真ん中豪速球投げてくるので抗えないんですよね…。なんなんでしょうか。彩景さんが描く男性の絶妙なツルツル感のある体つきが好きなのもあるし、乳首がツヤツヤしてるのもいいし、ツンデレメガネがやっぱり大好きってのもあるし、そんなツンデレメガネと女装セックスもあるし、ツンデレメガネの自慰シーンもある、大好きなものがつまりまくってる。方言もいい。あと彼氏である太郎の言葉責めが程良くゲスいのも最高。

いいBLはやはり理性で語るのは不可能なのではと思えてくる一冊でした。

2位 僧職高校男子寮/コウキ。

僧職高校男子寮 (バーズコミックス ルチルコレクション)

僧職高校男子寮 (バーズコミックス ルチルコレクション)

 

 「農業高校」とか「音楽大学」とかちょっと個性的な設定だけで展開する漫画って設定の面白さだけで突き進んでいくイメージがあり、このBLもそんな感じだろうなと思っていたのですが、これは全然「仏教系高校」って設定の特別感に頼ってない!BLとして、もっというと青春漫画としてすごく面白かったのです。

親に言いたいことも言えないまま、なりゆきでお坊さんの跡継ぎ息子が多く通う仏教系高校に通い寮生活をすることになった主人公の一茶。そこで、自分の将来とさまざまに向き合う同級生達と出会い、彼らとふれあいながら少しずつ自分の弱さと向き合って成長していく様子が、明るく丁寧に描かれます。一茶を成長させてくれるものが、同級生達が教えてくれる仏教のありがたい考えや、お寺の手伝いということで、そこで仏教系高校という舞台設定を活かしてくるのもぐっときます。

後半から少しずつ色濃くなる一茶と、同室の明人とのBL展開も、いきなり好き合っちゃうありがちな飛躍がなく、落ち着いて安心して読めました。というのも、前半部分で一茶の悩みを晴らす存在としての明人が丁寧に描かれてるので、一茶が明人に対して無邪気に「俺、もう明人がいないとダメだなー」と冗談まじりに言うシーンは偽りがないし、その一茶が本当にかわいくて、ああ、こんなこと言われたらそら同性の同級生と恋に落ちるわ…と腹オチするわけです。

そして自分の恋心にお互いが気付くのですが、その恋の進展もゆっくり。男子寮の同室だからって、すぐセックスには至らない。なんとなくたまにキスする寮の同室の友達、みたいなフワフワした期間があり、明人の入院もあり、ゆっくりと恋心を深めていくところが、読んでて安心できます。そうそうBLってこういう感じだよねーってなんか基本に立ち戻ったような気になるBLでした。

1位  美しい野菜 

美しい野菜 1 (Feelコミックス オンブルー)

美しい野菜 1 (Feelコミックス オンブルー)

 

 発売されてからもう1年以上経ってますが、いまだに、「美しい野菜」を超えるお気に入りBLに出会ってないかもしれない…それくらい大好き…。

心が狭くて内向的なもっさりしたメガネの受、太郎(もうこういうキャラ大好き)がひょんなところから年下の八百屋、治樹と知り合い、なりゆきでSMプレイをして自分の中のマゾ性を開花させていく物語。

この作品の面白いところは、大変いやらしいSMプレイの描写と、治樹が自分の八百屋から持ってくる新鮮な野菜を使って簡単な手料理を太郎に振る舞うところが、同列に扱われているところです。夜はSとして太郎をおもちゃのように扱う治樹ですが、昼になると、不健康な生活を送る太郎のために家事を片付け手料理を作ってあげる甲斐甲斐しさを見せます。SMプレイと美味しい料理で太郎はどんどん解放されていき、気持ちが楽になると仕事がうまくいくようになり、内向的な殻を少しずつ破っていくのです。

衝撃でした。SMプレイのBLは数多くあれど、こうした日常の暮らしの中にあるSMを描くものは初めて読んだし、それが行き詰った主人公を救う手段にすぎないなんて。

更に、太郎さんの救済の物語だけでなく、太郎と治樹の恋の駆け引きも真っ最中なのがよいです。こんだけハードなSMやっておいて、太郎とは「恋人じゃないよ、ただのかわいそうな友達」と言って恋の駆け引きを仕掛けてくる治樹と、自分がまともに相手を思いやる恋愛が出来てないと思っていて、治樹にきちんと恋できてるのか自分で不審がってしまう太郎。まだ全然付き合ってないし関係性の核心に触れてない!

食べることもセックスすることも地続きのひとつの生活の中にあり、その生活の中でゆっくり二人の恋が進展していく。そういう性愛の捉え方がBLの中では新鮮で、面白いなと思います。

ほんと松本ミーコハウス先生は生活感と変態の隣り合わせを描くのがうまいし、ご飯の描写を大切にするし、受と攻のどちらかに偏らない、お互いがお互い気恥ずかしくなっちゃう均等な力関係のBLを描くところが大好きです。

2巻の発売が待ち遠しい…。

おわりに

10冊紹介するだけなのにたくさん書きすぎましたので2つに分けることに。このBLがやばい2015に先駆けて、私的このBLがやばい2015を書いたブログのエントリが意外と少ないというか見つからないのですが、これから増えるのかな…。

ちなみにこのBLがやばい2016の1位筆頭候補が早くも決定しています。「夜はともだち」。これも、あーその発想はなかった!という変形SMもの。こういう、今までとちょっと変わったBLが読めるとほんといい買い物したなと思います。

夜はともだち (POE BACKS Babyコミックス)

夜はともだち (POE BACKS Babyコミックス)

 

 

来年はどんなBLが読めるのかいまから楽しみです。