パノラマロジック

オタク怪文書

2023年9月29日のミュージックステーションのこと

BE:FIRSTが初めてミュージックステーションに出演した日でした。

BMSGトレイニーショーケースでSKY-HIが、小ボケとしてタモさんのモノマネをして「君たちもいつかは(Mステに)出るかもしれないから予行演習だね」と笑ったのを見たのが8/1。いやーそういう時代、いつかはくるとおもうけど、いつ来ますかね?と思ったら、そこから1ヶ月あまりの9/23に来ちゃいました。早いよ。

BE:FIRST史上もっとも本人たちの意志が反映された攻めた楽曲Mainstreamで、さまざまな思惑がのったミュージックステーションの初出演を迎えられたのは素晴らしいことだったと思う。


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「Mainstream」のパフォーマンスは、マイク持ってこの楽曲をやるとこうなる、という答え合せを見ているような感じで正直な感想を言えば「今後が楽しみ!」って感じ。後ろにいる顔のないダンサー達とのパフォーマンスは圧巻でした。

「Bye-Good-Bye」も良かったけど、一番良かったのは「フレンド・ライク・ミー」だったな。普段ビーファってこういうコミカルな要素も入ったシアトリカルな曲ってやらないけど、リョウキのバラエティ豊かな表現力が下支えしつつリュウヘイも憑依する力を発揮していて、こんなに楽しくミュージカルソングを見せられるとは、と驚いた。

ソウタくんがバックダンサーとして過去に「フレンド・ライク・ミー」を踊っていた回を紹介してくれて、初登場なのに出番めちゃくちゃつくってもらえたすごい初出演回でした。

でもこの日のMステで一番食らったパフォーマンスはセクゾの「本音と建前」だったし、セクゾの振る舞いにとても注目してしまった。

どうしたって緊張感をもって見られる立場のSexy Zoneだったけど、それをものともせず。女子アナに振られるがままビーファのマナトくんが出したリュウヘイちゃんの写真に、ふまけんの連携芸が対応して健人くんがセクシーサンキューをお見舞いする。あの流れ素晴らしかったね。絶妙なバランス感。

事務所をこえて過去の自担、健人くんと現在の推しマナトが遭遇したすごい瞬間だった。

またこの場面で歌われる「本音と建て前」が素晴らしかった。

「真相に関心ない外野の機嫌など伺うの止した」を現在の文脈で歌われるとそれは痺れるよね。

人権と救済の問題の範疇をこえて、巨大な会社の独裁体制が転覆していくこと、ただそれだけに興味を持つ人たちの言葉に傷つけられたファンもいただろうし、タレントさんもそうかもしれない。

SexyZoneを薄くながらも継続的に見てきた印象として、セクゾは「ファンと僕たち」という関係性を、アイドルとして提供する一番の価値としている気がする。そんな彼らが外野を切り捨てる啖呵を切るこの歌詞は、いまの文脈で歌われるとよりつよつよに聞こえてくる。

風磨くんの歌唱力は遺憾無く発揮されてるし、健人くんの「全俺が愛だぜ 共犯関係でしょ」という咆哮はこれぞまさしく中島健人なんですよね。リアルと虚像のあいだでファンとの共犯関係を作り上げていく男。こんなドラマをやってこともありました。

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セクゾは今までの歩みの中で音楽を大切にしてきたグループで、少し早めにUKガラージを取り入れたり、シンセウェーブやったり、最新曲は90年代ヒップホップをやったりと様々な音楽に挑戦して自分たちを見せてきたけど、最終的に今回のようなジャジーでクラシカルで人工的な美しさを誇る楽曲が一番彼らに合うなあと思った。それはまるでデビュー曲の「Sexy Zone」を思わせた。

あの頃は大人から言われてガラスケースに閉じ込められていたけど、今はさまざまな経験をつんで、自分たちでガラスケースを作って自らをそこに陳列しているようなイメージ。本人たちの言葉を読んだわけではないけど、グループとしてのアイデンティティを感じた。

「Mainstream」はBE:FIRSTのが初めてグループとしてアイデンティティをもって作り上げた楽曲なんだけど、Sexy Zoneにも長年の活動で培われたグループとしてのアイデンティティを見せつけた日。ミュージックステーションの、個人的に歴史的な回になりました。